そして批判の声がさらに高まった13日夜、DaiGoさんは「間違ったことを言ったので謝罪します」とした動画を配信(15日深夜に非公開に)。そこで長年ホームレス支援活動をしているNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の奥田知志氏と連絡をとって、近々、奥田氏が活動をする福岡・北九州市へと赴くことを話した。奥田氏のことをDaiGoさんは、

「2020年には赤坂御所に招かれて天皇皇后両陛下に生活困窮者支援について、なんかこう説明とかしてるみたいなんですけど、その方にさっそく連絡をとって行かせてほしいと話しました」

 と言うが、なぜわざわざ北九州まで、このコロナ禍に? 都内にも困窮者支援団体はいくらでもあるだろう? と不思議に思わざるを得ない。

命に優劣をつける権利が
自分にあるという考えは危険

 そうした謝罪そのものも生活保護やホームレスの人たちへの理解に欠け、差別的なものだと指摘するのが、生活困窮者支援を長年続けている、一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表の稲葉剛さんだ。

「13日夜の謝罪では生活保護利用者全般や、ホームレスの人たち全般に対する差別を取り下げたわけですが、そこで使われているロジックが『頑張っている』という表現なんですね。抱樸へ行って奥田さんと話をするというのも、抱樸が支援したホームレスの人の『半分以上、57%ぐらいの人が復帰する。そのおかげで僕らが払ってる税金が無駄にならないで済むわけじゃないですか』と話していて、ホームレスの人たちの中でも頑張っている人は生きる権利を認めてあげていいよという話です。

 それは、生産性とか、自分の好みとか、頑張ってないと自分が思う一部の人たちを社会から抹殺しても構わないという根本的なところが変わっておらず、線引きを変えただけです」

 そもそもDaiGoさんの一連の発言について稲葉さんは、

「(7日の動画の)発言のすべて、あまりに問題が多すぎてどこが問題かひとつに絞れないほどですね。根本的には死刑制度の例を出して、処刑してもいい、殺すといった言葉を使い、優生思想があります。命に優劣をつける権利が自分にあるという考えが、いちばん危険だと思います。他者の生きる権利を決定できると思っていて、その矛先がホームレスの人たちと生活保護の利用者に向かっている」

 と言う。そのことでホームレスの人たちや生活保護利用者が傷つくことも心配されるが、それと同時に稲葉さんは「生活保護の利用が妨げられること」を懸念している。

「ただでさえ生活保護の利用をためらう方がたくさんいらっしゃるのに、制度から困窮者を遠ざけてしまい、間接的に人を殺してしまいます。またホームレスの人たちについてかなりひどい言葉で差別して、『いないほうがいいじゃん』とまで言っている。昨年も岐阜と渋谷区で路上生活の人が襲撃によって殺されていますし、90年代半ばから全国で襲撃によって命を奪われた方は20数人います。ほとんどが若者による襲撃ですが、元々そういうヘイトクライムが日本各地で起こっている状況で、さらにヘイトクライムを誘発しかねない発言をYouTubeでチャンネル登録者数が250万人にも及ぶインフルエンサーとされる人がするのは、偏見をさらに助長する危険なものです