千葉さんは、80歳を超えてもなお、本当にエネルギッシュだった。亡くなる2か月前の6月25日、千葉さんは週刊女性のインタビュー取材にも笑顔で応じてくれていた。担当編集者が振り返る。

'03年公開のハリウッド映画『キル・ビル』に出演した千葉さん(左端)と、監督のタランティーノ(右から3人目)
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「最近は、こうした取材で息子さんたちの話ばかり聞かれるのが不満だったそうで。“俺はまだまだ現役”という思いだったんでしょうけれど、当日も取材時に“この後、映画会社に企画の売り込みに行くんだ!”とおっしゃっていたくらいで。まさか、こんなことになるとは信じられないですね……」

最後まで語った映画人の情熱

 結果的に“生前最後の肉声”となってしまったこのインタビューでも、千葉さんは“まだまだ現役”そのままに、演じること─映画人としての情熱をほとばしらせた。

「毎日が自分との戦いですよ。特別なトレーニングというよりも、日ごろの積み重ねでしょうね。身体を鍛えることは、役者である以上当たり前。アクションというのは、肉体を使って飛んだり跳ねたりすることではなくて、身体を使って演技をすること。肉体は俳優の言葉であり、表現を具現化するためのものだからね」

 日本の映画界─中でも衰退の一途をたどっている時代劇に対しても、危機感をあらわにし、苦言を呈した。

日本の時代劇が連綿と受け継いできた殺陣の力強さや美しさ、侍の魂が感じられるような所作があまりに少ない。重さやリアルさが足りないんです。そして、これは昨今の邦画全体に言えることですが、いい脚本が少ない。脚本は映画の心臓。ハリウッドは、脚本にお金も時間もかけますが、日本はそうではない」

 日本映画界に厳しい視線を投げかけている千葉さんが認めていたのが、誰あろう真剣佑だった。

「長い間、どうして僕を越える動きをする日本人の役者が出てこないんだろうと思っていたんです。でも彼が出演した映画『るろうに剣心』を見てね、手前みそですけれど、“日本であんなに動ける役者はいない”と思った。いい動きだった。“今の真剣佑の動きにはついていけない”って。初めて“俺を越えたな”と思える役者が出てきたよね。越されましたね」

 そう言って目尻を下げたときだけ父親の顔に戻っていた千葉さんは、週刊女性に大きな夢を語ってくれた。