「歌ったり踊ったり、芝居の部分とか、これまで自分がやってきた活動の集大成だなって初演のときも思ったんですけど、今回もそう思えて。大げさでなく人生かけていますね。

 でも、そういえば『ミッドナイトスワン』のときもそんなこと言ってたかな。“#草なぎ剛代表作”みたいな(笑)。いつも自分のすべてをかけているんですけど、特にそれを強く感じる舞台だなって思います」

 2020年に上演された草なぎ剛の舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』が11月14日よりついに再演。ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程をシカゴのギャングの世界に置き換えて描く本作で、草なぎはギャング団のボスであるアルトゥロ・ウイを演じる。

「コロナを知らないときは、劇場にお客さんが入ってというのは当たり前の感覚でした。僕らもSNSとかやってますが、舞台ってそれと真逆で、みんなが決まった時間までに電車や飛行機、車を使って集まって観劇してと、ある意味アナログじゃないですか。

 でも、それで得られる生の感動ってあるから、“なんだ、配信でいいじゃん”という舞台には絶対したくない。配信は配信でいい部分もありますが、みなさんにも舞台の楽しさを感じてもらいたいです」

厳しい稽古ですっかりみんな“イケオジ”に!?

草なぎ剛 撮影/廣瀬靖士

 神奈川、京都、東京と3つの都市を巡る舞台だけに、体力づくりに余念がないそう。

「すごい筋トレしているわけじゃないですけど、階段を上ったり下りたりと舞台は動きますから筋肉は大事。ウイはすぐ裏切りますけど、筋肉は裏切りませんから(笑)

 大河で馬に乗っていたので、体幹とか鍛えていたのもあり、慶喜役から舞台に入れたのも大きいですね。稽古も激しいですから、(小林)勝也さんとか共演者の方々も筋肉ついてきていて。僕も含めすっかりみんな“イケオジ”になっています(笑)」

 最初の劇場となる『KAAT 神奈川芸術劇場』にはある思い出が。

「3年前に『バリーターク』という舞台をここでやりました。“新しい地図”を広げて初めての仕事だったんです。稽古場もこの劇場にあって、いざ稽古ってなったんですけど、台本を読んでもまったく意味がわからないんです(笑)。

 でも、稽古をする中で、愉快な気持ちとか悲しい部分とかどんどん内容がわかってきて、作品のおもしろさに気づく中で、いろんな新しい発見があった。自分の中の扉がどんどん開いていく感じになったし、いまでもこの劇場に来ると、新しい出発の地という感覚になります」

 またこんな経験もしたそう。

「劇場には電車で通ったりもしました。“いいな〜、中目黒の駅って”とかここでも新しい発見をして(笑)。“ななにー”が始まったのも、同じ時期で、ゆずさんに来ていただいて船の上で歌った思い出もあったりして、横浜を好きになりましたし、僕の中ではすべてはKAAT(カート)から始まっているなっていう感覚。シャワーもあるし、僕もうKAATに住んじゃおうかなって(笑)。それくらい、いろんな思い出が詰まってます」

いつかはシカゴに!

「この作品の舞台であるシカゴには行ったことないんですよ。アメリカは、仕事でニューヨークには行きました。ハンバーガーが美味しかった(笑)。シアトルとかラスベガスとか、アリゾナにも行ったんですが、撮影が終わったら1日かけて車で移動したりと、とにかく移動が大変な記憶しかないんです。ジーンズとかアメリカのカルチャーとか文化は好きなので、いつかシカゴも行ってみたいな」

『アルトゥロ・ウイの興隆』

『アルトゥロ・ウイの興隆』
11月14日〜12月3日 KAAT 神奈川芸術劇場/12月18日〜26日 ロームシアター京都/2022年1月9日〜16日 豊洲PIT