伊藤くんは、両親と兄、弟の5人家族だった。小学校のころはサッカーに打ち込み、中学校では野球部に所属した。男子生徒も伊藤くんと同じ小学校で、しかもサッカー部。図書委員を一緒に務めたこともあった。

 仲よしだった2人も、中学校では別々の部活に所属したが、

中学校にサッカー部がなかったから、それぞれ別の部活に入ったみたいですよ」(同校に子どもを通わせる保護者)

 男子生徒は、バレーボール部に所属。

「結構ハンサムで優しい子だった。今年の正月には、近くの神社に家族で初詣でに来ていて、きちんと新年の挨拶もしてくれて。曾祖母、祖父母、両親、兄と4世代7人の大家族で住んでいてね。しかも仲がいいのよ」(近所の住民)

 十四山中学校は2クラスしかなく、2年生のときは同じクラスになった2人。だが、3年生になって違うクラスになったとき、ある“異変”が起きていた。同中学校の関係者がこう話す。

グループLINEからはずされて…

「学校関係者の話では、男子生徒が2年生のときに作られたグループLINEからはずされたことを怒っていたみたいで……。それをしたのが伊藤くんだと」

 “いじめなどはなかった”としていた同中学校に、この件について問い合わせると、

「まだ事件から3日目で、生徒の心のケアに追われていた。原因についてようやく聞き取りをはじめたところだが、その話はまだ聞いていない」

 とのことだった。

 男子生徒は警察の取り調べに、

「自分が刺したことに間違いない。(刺したのは)嫌がらせを受けていたから」

 などと供述している。

 26日の夕方、男子生徒の祖父は、週刊女性の取材に応えてくれた。

「孫のSOSを察知できなかったことが残念で悔やまれる。私たちは加害者側ですから、何を言っても償えないですが、できるだけ早くご遺族に謝罪したいと思っています。私にとっては自慢の孫。早く会って、抱きしめてあげたいし、家族で支えていきたい」

 そう涙を浮かべて話した。

 修学旅行も卒業式もいつも一緒にいた彼らは、小学校の卒業文集でこんな夢を語っていた。伊藤くんは「野球選手になること」、男子生徒は「SF映画の制作会社に入ること」。あのころには、もう戻れない――。