緊急事態宣言も解除され、観光地には旅行者も戻ってきた。気になるのがシャンプーやリンスなど宿泊先のアメニティ。よく見かける馬油成分のアイテムには意外な事情が! 仕掛け人に話を聞いた。

 新型コロナウイルスの感染の波もいったんはおさまり、緊急事態宣言も解除。全国の観光地には旅行客が戻りつつある。

「先日、母と叔母と近場の温泉宿に泊まってふと気になったことがあるんです」

 そう切り出したのは神奈川県に住む30代の主婦。

「その宿のアメニティは『馬油(バーユ)シャンプー』でした。温泉宿でよく見かけるんですが、なんで温泉と馬油なのか気になってしまって……」(同・30代主婦)

 大浴場や部屋に設置されているシャンプーやトリートメント、せっけん、基礎化粧品などアメニティ類は宿泊施設には欠かせないアイテム。前出の主婦が気になっていた『馬油シャンプー』も各地で見かけることが多い。

 実は温泉宿のアメニティの中でも長年、愛されているアイテムというのだ。

 では、なぜ温泉地に馬油シャンプーが多いのだろうか──。疑問を解決するべく、販売メーカーのひとつである株式会社アズマ商事(本社・大阪府)の担当者に聞いた。

「馬油はケガやヤケドに効くと言われ、昔から治療に使われてきました。肌なじみがよく、老若男女問わず安心して使ってもらえるアイテムです。乾燥しがちな肌や髪ケアにもオススメです」

 温泉との相性もいいのだろうか? 尋ねると、

「どの泉質のお湯とでも相性はいいですが、温泉地で使うことだけを目的に商品開発しているわけではありません。温泉で使って気に入って購入しても自宅の浴室で使ってみるとよくなかった、となってしまったら意味がない」(同・アズマ商事担当者、以下同)

 馬油シャンプーは2006年の発売以来、根強い人気があり、同社の人気No.1アイテム。

「旅先で気に入り購入、親子3代で愛用してくださるリピーターも少なくありません。ただ、弊社の商品はドラッグストアなどで購入できるわけではないんです」

 その理由を前出の担当者が明かす。