心揺さぶる「おかんアート」の作品例

キューピーの服(香坂司登美、作者不詳)

 何にでもお洋服を着せてあげたくなるのがおかんスピリット。キューピーちゃん、電話ちゃん、ドアノブちゃん……なんでも包んで寒くないように保護してあげる、これこそが愛!?(※ニュースサイト、ニュースアプリでこの記事をご覧の方は週刊女性PRIME本サイトで写真が見られます)

アマビエ様 (作者不詳)
アマビエ様(作者不詳)
アマビエ様(作者不詳)

 トレンドにも敏感なのがおかん。疫病退散の化身を人にあげて喜ばせたい、そんなピュアな思いがこもったアマビエ様も、おかんにかかればたちまちファンシー化。(※ニュースサイト、ニュースアプリでこの記事をご覧の方は週刊女性PRIME本サイトで写真が見られます)

男性の作るものとは対照的な「おかんアート」

 このような“おかんアート”は、男性の作るものとは対照的な点があると都築さん。

「男性はなにかものづくりを始めると、“道”に入ってしまいがちなんですね。お父さんたちは名刺をなくした瞬間にコミュニティーを失ってしまう人が多いので、趣味を見つけるとだいたい1人で黙々と完成度を高めていく」

 それに対して、多くの女性たちは、集まっておしゃべりやお茶を楽しみながら、みんなでものを作ること自体を楽しんでいるという。

「女性の平均寿命が男性よりも長いのは、年齢を重ねても気兼ねないコミュニティーを保つことができるからなのかもしれません」

 この瞬間にも、全国津々浦々……いや、全世界で笑顔の中から“おかんアート”が生まれ続けている。ひとたび気づいてしまえば「うちにもあった!」「ここにもあった!」と、日常にはアートがあふれていたことを認識できるはずだ。

「『週刊女性』の読者の方にも“おかんアーティスト”がたくさんいると思います。子どもやお孫さんにあげて困惑されることもあると思うのですが(笑)、気にしないでわが道を歩んでください。あなたはアーティストなのですから」

 昨今の「おうち時間」にもぴったりの、見ればハッピー、作るのもあげるのも楽しい、でももらうほうは置き場所に困ることもある(笑)という、広くて深く、そして何より楽しい気持ちにあふれた“おかんアート”の世界。これを読んでいるあなたも、もうすでにアートの世界に足を踏み入れているかも……。

「Museum of Mom's Art ニッポン国おかんアート村」
キュレーション:都築響一+下町レトロに首っ丈の会
開催中〜4/10(日)
東京都渋谷公園通りギャラリー 11:00-19:00 入場無料
休館日:3/21を除く月曜日・3/22
主催(公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー

教えてくれた人は……都築響一さん
●1956年東京都生まれ。作家・編集者・写真家。欧米のアール・ブリュット/アウトサイダー・アートの動向をいち早く日本に紹介した草分け的存在。会員制の有料メルマガ「ROADSIDERS' weekly」を毎週水曜配信中。

〈取材・文/高松孟晋〉