2月21日、北京五輪での熱い戦いを終えた日本選手団が帰国した。

「空港には約300人のファンが詰めかけ、帰国を待ち構えていました。中でも羽生結弦選手のファンが最も多く、到着する5時間前から待機していたという人も。22時ごろに姿を見せた羽生選手は“ありがとうございます”と何度も口にしながら会釈をしてファンの前を通過していきました。羽生選手の写真が大きく使われた新聞を見せてアピールするファンを見つけると“あら”とうれしそうに声をあげる場面もありましたよ」(ファンのひとり)

 3月にフランスで開催される予定の世界選手権の代表にも選ばれている羽生だが、出場についてはまだ明らかにしていない。

「北京五輪での練習中に右足首を捻挫し、痛み止め薬を通常の数倍量飲んでいることもあり、まずは足を休めることが先決。ケガの回復や自身の気持ちなどを考えて、総合的に判断すると話していました」(スポーツ紙記者)

 中でも注目を集めたのが、エキシビションを終えて行われた囲み取材での、“今後”に関する発言だ。

アイスショーなのか、競技なのか

フィールドは問わないって自分の中では思ってます。(中略)こうやってたくさん見ていただける“羽生結弦のスケート”というものを、ちゃんと僕自身、もっともっと納得できるような形にしていきたい。(中略)それがアイスショーなのか、競技なのか

 これを受けて、ファンの間では多くの臆測を呼んでいる。

 羽生を長年取材し、北京五輪での会見では、演技の満足度を問いかけ“らしい質問ですね”と羽生から声をかけられたスポーツジャーナリストの折山淑美さんはこう推察する。

「羽生選手自身、まだこの先についてじっくり考えてはいないでしょうし、質問されたから答えただけ。“まだ考えていません”とも言えたはずですが、彼はまじめだから“フィールドは問わない”と話したのでしょう」

北京五輪のエキシビションでカメラに手を振る羽生結弦

 また、羽生がスケートを追求する“フィールド”も多くの可能性があるという。

羽生選手が卒論のテーマで研究したような、AIを活用したジャンプの理論をさらに突き詰めてフィギュアスケートをもっとわかりやすい競技にするなど、表現を追求する方法は競技やアイスショー以外にもたくさん考えられます」(折山さん)

 とはいえ、羽生が例に挙げたひとつが“アイスショー”だ。競技としてのフィギュアスケートとは何が違うのか、アイスショー出演経験もある元フィギュアスケート選手の渡部絵美さんに聞いた。

「アイスショーには、決まったルールがなく、好きなことができます。採点もないので、ジャンプも自分の得意なものを跳べばよいですし、北京五輪のエキシビションでネイサン・チェン選手が披露したバックフリップのような、競技では禁止されている技も可能。曲の長さなども当然自由ですから、自分の表現力を遺憾なく発揮できます」

 より芸術性を高めていけるわけだが、羽生の“先輩”もその道を歩んでいる。

「羽生選手と同郷の荒川静香さんは、'06年にトリノ五輪で金メダルを獲得した後、アマチュア競技を引退すると、プロに転向しました。'07年からは、自身で企画したアイスショー『フレンズオンアイス』を毎年開催しています」(アイスショー関係者)

 そのこだわりが強いことでも知られている。

荒川さんが求めるレベルに達した美しい滑りができないとキャスティングされず、それは元オリンピアンの有名選手でも同様です。アマチュア競技引退後、タレント活動などに忙殺されて練習機会が減ると、声がかからなくなってしまうほど。羽生選手もスケートの芸術性を追求する姿勢は図抜けていますから、同じ道筋をたどることも考えられるでしょう」(アイスショー関係者)

 羽生の行く末はいかに─。