この春スタートする連続ドラマのなかでも注目なのが、一昨年にジャニーズ事務所を退所した山下智久(36)がNHKドラマに初主演するドラマ10『正直不動産』(4月5日スタート、NHK総合毎週火曜夜10時~)だ。

 口八丁手八丁で売り上げNo.1の不動産営業マンが、たたりでウソがつけなくなることから始まる痛快お仕事コメディーで、同名コミックの原作をドラマ化。『監察医 朝顔』や『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』の根本ノンジが脚本を担当するほか、小田和正が主題歌『so far so good』を書き下ろし、ドラマを後押しする。

『ラブ・ストーリーは突然に』誕生秘話

 小田といえば、これまでも多くのドラマ主題歌を手がけているが、1991年のドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌『ラブ・ストーリーは突然に』がもっとも有名だろう。

 ドラマは、リカ(鈴木保奈美)とカンチ(織田裕二)のすれ違いの恋愛模様が描かれ最高視聴率32.3%、主題歌は270万枚越えのダブルミリオンヒットを記録した。

「主題歌は作品のイメージに合わせて作られていて、切ないドラマの内容ともマッチしていました。毎回ラストの見せ場に主題歌が流れるスタイルは『男女7人夏物語』(’86年)などすでにありましたが、人気ドラマと主題歌ヒットの取り合わせは“東ラブ”のインパクトが大きく、見せ場で流れて曲がヒットする方程式を確立したと思います」(ドラマウォッチャーでライターの成田全さん)

 “東ラブ”を手がけたフジテレビの元プロデューサーで常務取締役の大多亮さんは著書『ヒットマン-テレビで夢を売る男』で主題歌を書き直してもらったことを明かしている。

 まず起用した理由は社内の女性(Iさん)に小田の曲をすすめられことだった。

≪テレビというのはものすごい数の不特定多数を相手に作らなければならない。それは、ときに自分が誰に向かって作っているかをわからなくさせる。視聴者の顔が見えなくなるのだ。ところが『東京ラブストーリー』の場合は、Iさんという明確な目標が目の前にあった。彼女が泣けば絶対当たる。だから主題歌はIさんが押してくれた小田和正しかなかったのである≫

 しかし出来上がってきた楽曲はノリのいい『FAR EAST CLUB BAND SONG』という曲でイメージと違った。『Yes-No』のような切なく視聴者が号泣する曲に作り直すよう押し切った。

 小田からは≪「わかった。1週間だけ待ってくれ。ぐうの音もでない楽曲を用意する」と返事がかえってきた≫

最高視聴率32.3%を記録した、1991年に放送されたドラマ『東京ラブストーリー』

 そして届いたのが『ラブ・ストーリーは突然に』だった。

 ≪鳥肌が立った≫≪主題歌を聴いただけで、アドレナリンが湧き出て、イメージが次々と膨らんでくる。こんな経験は初めてだった≫と綴っている。

 制作者の意図を汲みそれ以上の役割も果たす主題歌作りは、今回の新ドラマでも反映されている。

 小田は「“このドラマはコメディーです”とインフォメーションされていましたが、原作の漫画を見せてもらってもどうにもコメディーというイメージがわかず、同じ場所を行ったり来たりしましたが、とにかくドラマに全然合っていなかったとだけは言われぬよう“軽快に明るく”というもう一つのテーマだけはクリアしなければと頑張りました。“皆に迷惑かけないで少しでも役に立って来いよ!”と送り出す気持ちです」とコメントしている。

「ドラマのインパクトに音楽は大事な要素。大御所の小田さんが今回も原作漫画を読んで手がけることがすごい。制作サイドにとって小田さんは、きちんと作品に寄り添う楽曲にしてくれる期待感が大きいと思います」(成田さん)