前出の調査でも、

《主人が2か月、育休を取りましたが、育児などまったくせず自分のキャリアアップのため、すべての時間を費やしていました。いつもより家にいるため、家事や育児に口を出され、かなりストレスを感じた》(30代女性)

《育休のみならず、男性には取得する・しない、やる・やらないの選択肢がある時点で育児は女がするものだという決めつけがある。女性に、(育休を)取らない、(育児を)やらないの選択肢はない》(40代女性)

 などと憤る声が。呼び声と実態がかけ離れた「名ばかりイクメン」に、妻たちの不信感は募るばかりだ。

「女性は妊娠すると、吐き気や身体のだるさで体調や行動範囲に影響が出るようになります。それに合わせながら(出産するまで)10か月かけて、子ども中心の生活に変わっていく。でも男性の場合、いきなり赤ちゃんが目の前に現れるわけで、考えや生活は自分中心のまま。育休のような制度を作ったからといって、そのギャップがすぐに埋まるわけではありません」

 そう指摘するのは、生活経済ジャーナリストのあんびるえつこさん。以前にあんびるさんは、生まれて間もない赤ちゃんを抱きかかえ、泣きながら裸足で歩く女性に出くわしたことがある。たまらず声をかけると、女性はおびえながら「夫にコーラを買ってこいと言われた」と話した。あんびるさんは事情を聞いて、警察に付き添ったという。

育休だけでは夫婦間の差は埋まらない

「こうした女性は残念ながら珍しくありません。すべての男性が即、イクメンになるわけではないし、実家に頼りたくても頼れない人もいるでしょう。出産も、それに伴う困りごとも十人十色。

「取るだけ育休」はワンオペ育児の温床に。日本は女性の睡眠時間が先進国で最短というのも納得
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 夫に育休を取ってもらうより、例えば民間の産後ケア施設のほうが快適に過ごせる場合もある。そうした施設の利用費を補助したほうが、夫が育休を取るより助かる女性もいるでしょう。さまざまなニーズに対応できるよう予算や取り組みを充実させることが必要です」(あんびるさん、以下同)

 働く環境が“壁”になるケースも依然多い。

「JALや江崎グリコなど、男性の育休に力を注ぐ大企業が増えつつあります。ただ、人手不足にあえぐ中小企業で同様の取り組みができるかというと難しい。育休を取得できる期間や上司の理解にも、大企業と中小では格差が開いています。昇進に支障が出るといった“壁”もあります」

 共働きが増えたとはいえ、男女の賃金格差がある中では、夫が主な稼ぎ手という家庭が大半を占める。そのため就職情報大手『マイナビ』の調査では、夫の育休取得にあたり「収入減少」を不安に挙げる人が7割を超えていた。

「賃金体系が年功序列から成果主義にかわる中で、休みが減収に直結する影響が出ることもあります。また、今回の法改正では非正規労働者も育休取得の対象としていますが、いつクビを切られるかわからない状態で育休を申し出ることは難しいでしょう。こうした問題への対応も求められています」

 そもそも少子化が加速した最大の要因は、「“若者のお金離れ”。金銭的余裕がないから」とあんびるさんは強調する。

「将来の見通しが立たず、交際費にもお金をかけられないので、出会いもない。悪循環に陥っています。賃金が上がり働き口もあって、諸外国のように無償の奨学金なども充実している。そうした環境を整えることが、男女ともに安心して子育てができる社会につながっていくのではないでしょうか」

夫が積極的に取り組んだ家事・育児 トップ5

1位 ゴミ出し 43.6%
2位 買い物 34.5%
3位 掃除や片づけ 28.7%
4位 料理 22.1%
4位 洗濯 22.1%

「しゅふJOB総研」調べ

夫が積極的に取り組んだほうがいい家事・育児 トップ5

1位 掃除や片づけ 44.8%
2位 名もなき家事全般※ 38.2%
3位 料理 34.1%
4位 子どもの遊び相手 24.8%
5位 ゴミ出し 21.7%

「しゅふJOB総研」調べ

※「名もなき家事」とは…洗い終えた食器をもとの場所に戻す、調味料の補充など、掃除や洗濯といった名前のついていない家事のこと。