大便を投げられたり、車を傷つけられたり…

 小林さんは、サービス付き高齢者住宅の隣家から被害相談を受けたことがある。24時間お風呂に入れるサービスがトラブルに発展した。

隣家の窓から5メートル先で、浴室循環システムのポンプが24時間唸り音をあげていました。しかも、深夜でも10分稼働して止まるというのを20分ごとに繰り返す。これでは眠れませんよ。ずっと稼働しているほうがまだましです」(小林さん)

 一家は、3か月我慢を続けて限界を迎えた。不眠による心身の不調を証明する診断書を手に、怒鳴り込んだという。小林さんの仲介で話し合いを重ね、数か月後に夜中の稼働を止めることが決まった。

写真はイメージです
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【写真】踏切でもトラブルが……

 約20年トラブルが続いた事例もある。ビルの1階で営業する居酒屋と木造戸建ての隣家との道幅は約2メートル。居酒屋の経年劣化した室外機の起動音が「ズドーン、ワンワンワン」と響いていた。隣家の前田徹さん(仮名=70)は「思い出すのもつらい」とこぼす。

明け方まで室外機が爆発音のような音を繰り返し、警察にも数百回も通報したし、市役所にも相談したけどダメ。そのうち、大便を投げられたり、車を傷つけられたり……。まともに話もできなかった。ストレスによる心不全で手術までしましたよ

 民事裁判にかけて2年。勝訴し、室外機の撤去命令が出た。別の新しい機種が屋上に設置されたという。

 前出の小林さんが言う。

「市の条例で深夜に営業する飲食店は騒音規制があり、45デシベルが許容限度。でも、測定すると条例の基準を大幅に超える60デシベルだった。条例の基準値を超えているにもかかわらず、役所が指導しないことも問題でした」

 企業や役所が対応してくれない場合、どうすればいいのか。防音が難しい低音には、“室内の音を意図的に増やす”対策が有効だという。

「人が心地いいと感じる自然音を室内で流し、低音を紛らわす。この方法でストレスから解放された方が何人かいました。川のせせらぎ、小鳥のさえずり、波の音、雨音など、すべての周波数が均等な強さでまざった雑音を“ホワイトノイズ”といいます。この雑音には脳が不快に思う音を覆い隠す効果があります」

 小林さんのおすすめは、数千円で購入でき、長時間流せる環境音スピーカー“ホワイトノイズマシーン”だという。無料で試せるホワイトノイズの動画やスマホのアプリを利用してみるのも手だ。

騒音は我慢せず、“気になったらすぐ相談”が基本です。感情論になると話し合いは難航しますから」(小林さん)

 世界保健機関(WHO)は、過度な騒音による心疾患のリスクを発表している。たかが音と侮るなかれ。泣き寝入りせず、声を上げてほしい。