節約を加速させるため、菓子とパンは買わない

 素材を活かしたシンプル調理で年金不安を吹き飛ばした紫苑さんだが、節約当初は1万円で収まらないことも。

「原因の第1位はお菓子。以前はスイーツ中毒みたいなところがあって、駄菓子がやめられなかったんです」

 お菓子をつい食べすぎて食事がおろそかになることも多々。そのせいでお腹を壊すが、欲望に勝てずまた食べるという悪循環。

「クッキーやせんべいなど、ちょっとしたお菓子を買うとすぐに500円ほどになります。500円あれば鶏胸肉や野菜など十分な食材が買えると思って、少しずつ減らすように心がけていきました」

 さらにやめたのが市販のパン。紫苑さんはベーカリーのパンが好きだったので、1回の買い物で1000円近い出費だった。

「でもパンは好き。だからパン焼き器を買って自分で作るようにしました。お菓子も、市販品よりぐっと砂糖を減らして作っています」

簡単なお菓子やパンは作るようにした。砂糖もぐっと減らせて、添加物もなし
簡単なお菓子やパンは作るようにした。砂糖もぐっと減らせて、添加物もなし
【写真】月1万円でもこんなにリッチ!紫苑さんの食卓

 こうして市販のお菓子とパンをやめると月4000円近くが浮くようになったという。浪費につながる食習慣も断ち切り、見事に節約と健康を手に入れたのだ。

「年金でも十分やっていけると自信がついた今、気持ちも穏やかだし、人生でいちばん体調がいいと感じています。節約しているとお金をどんなふうに使うかをじっくり考えるので、頭の体操にもなりますよ(笑)」

■【紫苑流食費節約ポイント】
〈1〉旬の安い食材を買う
 季節など関係なく買いたいものを買うと、割高に。旬の食材であれば、物価高もなんのその! 値段も安く栄養価も高い。
〈2〉お菓子やパンは買わない
 意外とコストがかかる。食べなくなれば次第に「買いたい」という気持ちも薄れる。
〈3〉「安ければいい」で食材を選ばない
 健康によくておいしいことも重要なので、添加物の多い市販品は極力さける。体調が良くなれば「もっと頑張ろう」と前向きになり、節約も人生もうまくいく。
〈4〉貧相な食事はしない
 食事は木製の盆にのせ、いただきますと手を合わせて食べる。ささやかな食事でもきちんとした儀式にするとプチプラ食生活も格段に豊かに。

お話を伺ったのは……

紫苑さん
2020年からブログで発信しはじめた節約生活が話題となり、多数メディアで取り上げられる。著書に『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(大和書房)。

取材・文/樫野早苗、松澤ゆかり