しかし、谷氏の演出舞台『家を壊す−他、短編−』は初日となるはずだった12月16日、同氏の騒動を受けて「全公演中止」と発表。また、谷氏は「青年団」演出部にも所属していたが、同劇団の公式サイトでは主宰・平田オリザ氏が「他の関係者の証言もあることから大筋の告発は事実であったと思われます」と大内側に立ち、「谷氏は青年団演出部を退団することとなりました」と報告した。

過去にもあったハラスメント疑惑

「今年は3月に榊英雄氏が映画監督の立場を利用した者たちによる女優へのハラスメント報道があり、大問題になりました。それだけに、舞台業界でも谷氏に浮上した疑惑を放っておくわけにはいかなかったのかもしれません」(映画誌ライター)

 ちなみに、大内の告発内容に関しては「事実無根」などと否定していた谷氏だが、同文章中には「かつては稽古場で怒号を飛ばしたこともありました。性的なハラスメントもあったと反省しています」という記述も。

 ただ、谷氏いわく2016年に自身が「非常に強いパワーハラスメントを受けた」ことを機に、以降は「そのような手段に頼らず現場に立つべきだと自覚を強くしました」とのこと。大内と仕事をするようになったのは「2018年」からで、「彼女に対し訴えにあるような行いをしたことはございません」と断言している。

谷賢一氏の新作公演『家を壊す―他、短編―』を主催する「浜通り舞台芸術祭実行委員会」が全公演を中止すると発表
谷賢一氏の新作公演『家を壊す―他、短編―』を主催する「浜通り舞台芸術祭実行委員会」が全公演を中止すると発表
【写真あり】谷賢一氏からのセクハラを告発し、提訴までした女優のインスタグラム

「今回、大内さんの告発を受けてツイッター上で『連帯致します』と反応した女優・ハマカワフミエさんは、2010年に『谷賢一におぱいさわられたなう』(9月)、『谷さんにおぱいさわられたなう』(10月)などとツイートしていたことが判明。谷氏自身がサイト上につづっていたように、2016年以前に『性的なハラスメント』を行っていた事例の1つに含まれそうです」(スポーツ紙記者)

 一方、2016年以降の谷氏にも疑惑がある。たとえば2021年5月、劇作家協会は同年2月に開催した「劇作家と俳優のためのせりふの読みかたワークショップ」において、「講師が受講者に対して高圧的な態度で接し、受講者の尊厳を傷つける場面」があったとして謝罪していたが、同ワークショップで講師を務めたのは谷氏。本人も同年5月8日に自身のサイト上で「当該文書における『講師』とは私、谷賢一のことです」と明かしており、受講者側の発言に問題を感じて口論になったなどと説明していた。