家康は結局、郷里の三河を守るために信長と同盟を結ぶ道を選ぶ。住み慣れた駿河を捨てた。今川家を裏切る形になるから、苦渋の選択だった。また、これにより、駿河に残した瀬名と義父・氏純の立場はなくなってしまった。2人ともピンチだ。またしても「どうする家康」となる。

 2014年の『軍師官兵衛』で主演した岡田が助演にまわるのだから、豪華キャストである。ほかの出演陣も主演級がズラリ。

 家康、信長とともに戦国3英傑である豊臣秀吉役をムロツヨシ(46)、戦国最強の武将とされる武田信玄役を阿部寛(58)、家康が最も信頼する家臣・石川数正役を松重豊(59)、家康の懐刀・服部半蔵役を山田孝之(39)、家康の側室で徳川幕府2代将軍・秀忠の母である於愛の方役を広瀬アリス(28)信長の妹で家康の生涯に深く関わるお市の方役を北川景子(36)がそれぞれ演じる。

NHK大河ドラマの高額出演料

 出演料だけでも途方もない金額になりそうだが、大河の制作費はNHKの「収支予算と事業計画の説明資料」を閲覧すれば類推できる。昨年の『鎌倉殿の13人』は1話当たり平均7900万円。『どうする家康』も同程度になる見通し。一昨年の『青天を衝け』も同額だったからだ。

 民放1時間ドラマの平均3000万円と比べたら2倍以上であるものの、美術も衣装もやたらと凝っている上、出演陣もオールスターだから、これくらいはかかる。

 7900万円が高いと思うか妥当と考えるかは人それぞれだろうが、大河と連続テレビ小説は期待を裏切らないものにしてほしいというのが視聴者側の共通する本音ではないか。

 松潤はNHKを通じ「大河好きの方はもちろんのこと、若い世代の方にも楽しんでいただけるようなエンタテインメントをお届けできるよう一生懸命やらせていただきたいと思います」とコメントした。 

 NHK側も同じ思いだろう。だから脚本は古沢良太氏(49)に任せた。古沢氏は中高年以上の支持が厚かった映画『ALWAYS三丁目の夕日』(2005年)を書く一方、若者に人気だったフジテレビ系連続ドラマ『コンフィデンスマンJP』(2018年)を執筆したヒットメーカーである。シリアスもコメディも得意。新旧の大河ファンのどちらも喜ばせられるのではないか。

 ちなみに『青天を衝け』の第1話の視聴率は世帯20.0%、個人12.5%。同じく『鎌倉殿の13人』は世帯17.3%、個人10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。日曜午後8時台の番組で断トツだった。

 さて『どうする家康』はどうなる?

取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。