【3】日本テレビ『ガンバの冒険』(1975年)、エンディングテーマ曲(ED曲)『冒険者たちのバラード』

 ヒーローが登場しないアニメで、地味に始まったものの、全26話が終了するころには子どもから大学生、その親までが熱中した。

 主人公はお調子者だが、勇敢で正義感の強い町のネズミ・ガンバ。島に住む小ネズミの忠太のSOSに応じ、仲間6人を伴って島に渡り、殺りくを繰り返していた白イタチ・ノロイと戦う。

 ガンバの仲間は親分肌のヨイショ、賢いガクシャ、いつも斜に構えているイカサマたち。どんな困難の前でも仲間を決して裏切らず、卑怯な振る舞いを嫌い、強敵に立ち向かう7匹の姿は観る側の胸を打った。

『冒険者たちのバラード』はフォークバンド「ノラ」出身の杉浦芳博(74)が歌った。シブい曲で、アニメのED曲とは思えなかった。

 その1番では仲間たちが過酷な冒険を打ち切ろうと提案するものの、ガンバは続行を訴える。だが、歌詞は「けれどゆうひは おまえとなかまの ドクロをうつす」で終わり、7匹の死を暗示した。

 明るい曲調のOP曲『ガンバのうた』を歌ったのは河原裕昌。現在は河原さぶ(77)の名で俳優として活躍している。

【4】NET『デビルマン』(1972年~73年)、ED曲『今日もどこかでデビルマン』

 ポップス調のこの曲は完成度が高く、今になって聴いても全く古くない。聴かせどころは「人の世に愛がある 人の世に夢がある」の下り。アニソンらしさを感じさせない。  

 作詞は阿久悠さん、作曲は現文化庁長官でもある都倉俊一氏(74)が手掛けた。ピンク・レディー『UFO』(1977年)など数々のヒット曲をつくった黄金コンビだ。おそらく2人はアニソンをつくるという意識はなく、単に良い曲にしたかったのだろう。

 歌ったのは十田敬三(80)。CMソングを多数歌った人だ。

【5】日本テレビ『タイガーマスク』(1969年~71年)、OP曲『行け!タイガーマスク』

 放送ではレコードにはないナレーションが冒頭に入っていた。「おまえは虎だ、虎になるのだ!」これが勇ましい曲をより雄々しくした。曲中のゴング音もレコードにはない。

 作詞は木谷梨男氏。東映のアニメプロデューサーだった故・斎藤侑さん(享年87)のペンネームである。作曲・編曲は故・菊池俊輔さん(享年89)。刑事たちが滑走路を歩くバックで流れる『Gメン75』(TBS、1975年)のテーマソングなどをつくった名匠だ。

 歌ったのは新田洋で、現在の芸名は森本英世(73)。1973年から83年までは「敏いとうとハッピー&ブルー」にリードボーカルとして所属していた。『星降る街角』(1977年)、『よせばいいのに』(1979年)などを歌い、ヒットさせている。幅が広い。