映画の試写を見てくれた人が長文のメッセージを

鈴木亮平(撮影/伊藤和幸)
鈴木亮平(撮影/伊藤和幸)
【写真】今年で40歳を迎える鈴木亮平

 小説だけでなくエッセイやブログなどにも目を通し、友人や仕事の関係者への取材やゲイの方たちとの座談会などを重ねた。さらにひとりで電車に乗って高山さんの実家まで足を運んで家族に話を聞き、墓参りもするなど20人以上の関係者に会って作り上げたという浩輔役は、生前の高山さんを知る人の間で「会ったことがないはずなのに、どうして?」と驚かれるほど生き写しと話題だという。

「生きていらしたら高山さんひとりに話を聞けば済むことが、お亡くなりになられていたので……。でもいろんな方にお話を聞いたことで、多面的に捉えることができたんじゃないでしょうか」

 物語が進むにつれて浩輔は龍太と関係を深めるが、龍太が病気がちな母・妙子との生活費を男たちに身体を売って稼いでいることを知る。中学生で母を亡くしたときに何もできなかったことが心残りになっていた浩輔は、専属の客になって龍太を独占し、龍太親子の毎月の生活をサポートすることで亡き母への思いも取り戻そうとする。苦しくても幸せな生活が続くかと思った矢先、突然の出来事が浩輔を襲い、物語は思わぬほうへと動き出す。

映画の試写を見てくれた人が、みんな長文のメッセージをくれるんですよ。それぞれハマっているところが違うけど、本当にびっくりするくらい反応がいいです。“説明できないけど、めちゃくちゃよかった”という感想もいただきました。映画では愛情とか、献身とか、家族や親子の関係とか言葉にするのが難しいことを描いているので、取材でいろいろと聞かれるけど説明しづらいんですよね(笑)。

 僕には僕なりの解釈があるけど、でもそれが正解では決してなくて、どんな解釈でも正解だと思う。だから映画を見た人が何に感動したかで自分自身についての新たな発見がある作品かなと思います。“愛って……!?”ということを考えながら見ていただきたいですね