5年間の支配

 話を裁判に戻そう。

 この日初めて法廷の証言台に立ったA子さんは弱々しい口調ながらも力強い言葉で星野被告の犯行を証言した。(※以下はA子さんの証言をもとにしています)

 きっかけはグループ加入だった。

 2018年当時、歌唱力の足りないA子さんは、デビューを控えているアイドルグループには入れない可能性があった。どうしても入りたいと告げた彼女に、星野被告はこう言ったという。

「(グループに加入したいなら星野被告の)ほっぺをかじって。キスをして」

 A子さんはグループのメンバーになりたいがために、これに応じ、無事にメンバー入りを果たし、センターに抜擢された。

 いちばん最初の犯行はグループに加入後、すぐのことだった。

「星野被告に呼び出され、服を脱ぐように言われました。断れずに私はそれに従い、応じました」

 当時の彼女は13歳。まだ中学校に入ったばかりの子どもである。自身の立場を利用した上での星野被告の誘いを断ることなど、アイドルを夢見る13歳の少女には到底できなかった。

 事務所の2階に住むようになったA子さんは、生活のすべてを星野被告に支配されていく。星野被告は勝手に部屋に入ってきて、A子さんが寝ていても性行為を始めることもあったという。

「私が寝ていても(行為を)されました。週4回は来ていました」

 いつ来るかわからない星野被告の襲来に怯えながら過ごしたという。

 強要されたのは性行為だけではない。ライブ後などには一方的な説教を数時間浴びせられることもあった。

「“てめえ、なめてんのか”とか物を投げたり、急にキレたりもするので恐怖を覚えていました」

 星野被告の“支配”はグループ内の人間関係にも及んだ。

「メンバーとの連絡先の交換は禁止で、相談もできなかった」