韓国発の学習マンガは日本の書店でも大きく展開されている。丸善津田沼店にて
韓国発の学習マンガは日本の書店でも大きく展開されている。丸善津田沼店にて
【画像】原作マンガの世界観がそのままなのも人気の秘訣


 日本でも科学の楽しさを伝える学習マンガが求められて、ブームになっているのかもしれない。

 楽しさを伝えるという意味では、『つかめ!理科ダマン』は他の科学マンガとは違う特徴がある。

ウェブトゥーンで29億PVを誇るヒット作

もともとウェブトゥーンで’09年から連載されていた『離さないで!精神線』という日常系ギャグマンガがありました。若い世代を中心に29億PVを誇るヒット作。そこに学びの要素を入れ児童向けの書籍として制作されました

 ウェブトゥーンとは“ウェブ”と英語でマンガを意味する“カートゥーン”を組み合わせた造語で、韓国発のデジタルマンガ。

 作品が縦スクロールで展開し、全編カラーというのが大きな特徴だ。コメディー、ラブストーリー、ファンタジーまでさまざまなジャンルの作品があり、Netflixなどでは『梨泰院クラス』のように、ウェブトゥーン原作のドラマ化が増えている。

『つかめ!理科ダマン』を出版した韓国の大手出版社WisdomHouseの編集担当に、なぜウェブトゥーンをもとに出版したのかを聞いた。

「2009年に韓国のプラットフォーム『Naver』でウェブトゥーンが連載されました。10代のユーザーにすでに人気があり、10年も連載していた時点だったのでファンも確保されている状態でした。当時、ウェブトゥーンが書籍化されることも多く、それも好評だったため、この“ファン”のための本を作ってみようと思いました」

 ウェブトゥーンは韓国のみならず、世界に広まっている。日本においてもLINEマンガやピッコマなどで“韓国発”と気づかず夢中になって読んでいる人も多いのかもしれない。しかし、科学をテーマにしたのはなぜ?

「ギリシャ神話、韓国史、世界史なども候補にありましたが、類書が出版されていることと、著者が科学に好感を持っていたこと、また、科学が学校の主要科目であることなどが理由です」(WisdomHouseの編集担当、以下同)

 科学は韓国でも重要科目。しかし、マンガの内容は“面白さ”に比重を置いた。

どうしても原作のある本なので、キャラクターの世界観を崩さないように気をつけました。面白おかしいストーリーで、子どもたちに身近な科学の情報を伝えることを心がけた。このシリーズと他の科学の学習マンガとの差別化は、著者のシン・テフン氏、イラストのナ・スンフン氏だからこそ作り出せました