目次
Page 1
ー まったくの偶然がひとり歩きした
Page 2
ー 人はネガティブな話題に強く興味を惹かれる
Page 3
ー 予言ブームは繰り返される

 東日本大震災を著書で予言したという漫画家が、予知夢で今年の7月5日に日本で大震災が起こるのを見たと明かしていたことが国内外で話題に。その影響で、アジアからのインバウンドが減少しているとも報じられたこの予言を、琉球ユタの第一人者はどう解説するのかーー。

まったくの偶然がひとり歩きした

 2025年7月5日、日本列島を大災難が襲う─。巷で大きな話題を呼んでいるこの“予言”の発信元は漫画家のたつき諒氏。2011年3月の東日本大震災を言い当てたとされる人物だ。

 たつき氏はもともと予知夢を見ることが多く、彼女が綴っていた「夢日記」をもとに描いたというのが、1999年に出版した漫画『私が見た未来』。

 その表紙に「大災害は2011年3月」と書き、12年後の2011年3月11日に東日本大震災が起きたことで、“予言漫画”と一躍注目を集めた。

これはまったくの偶然がひとり歩きしたと思っています

 こう“予言”の噂を真っ向から否定するのは、琉球ユタ(沖縄県、奄美諸島の民間霊媒師=シャーマン。相談者の霊的な問題や、日々の生活の問題点についてアドバイスを行う)のHAL(はる)

 琉球王朝から続くユタ家系に生まれた最後の琉球ユタで、これまでに延べ20万人のカウンセリングを行ってきた実績を持つ。たつき氏が漫画に書いた日付については、

たつき先生の本の表紙に描かれた絵が偶然、東日本大震災の日付を当てたと思っています。実際、本の内容にも東日本大震災については一切触れられてません

 と指摘する。

死者、行方不明者が2万人以上になった東日本大震災。たつき氏はこれ以上の災害を夢で見たという
死者、行方不明者が2万人以上になった東日本大震災。たつき氏はこれ以上の災害を夢で見たという

 1999年の『私が見た未来』の出版を最後に、たつき氏は漫画家を引退。『私が見た未来』は、その後絶版となり、中古市場のオークションでは10万円を超え、一時は50万円もの高値がつけられた。

 ただし、たつき氏の“予言”を熱く支持していたのは一部のマニアに限った話。世間一般には、ひとつの都市伝説として認識されていた感がある。

 今回の騒動の発端となったのは、たつき氏が2021年10月に出版した『私が見た未来 完全版』。たつき氏は長い沈黙を経て、“予言”のもととなった夢日記を初公開し、予知夢について解説している。

 書籍では、自身が《サイババとの出会いで覚醒》したと証言。《本当の大災難は2025年7月にやってくる》《日本列島の太平洋側の1/3から1/4が津波にのみ込まれ……》《津波の高さは東日本の3倍はあろうかというほど》と記している。

 地震大国の日本に暮らす私たちは、常に地震の恐怖を身近に感じ生きてきた。いつ大地震が起こってもおかしくないと昔から言われ続け、その刷り込みは大きい。

 さらに今年1月、日本政府の地震調査委員会が南海トラフで30年以内に巨大地震が発生する確率を80%程度と発表したことで、大地震に対する危機感はより高まった。