予言に科学的な根拠は一切ない。気象庁も「現在の科学的知見では時期や場所、規模を特定した地震や噴火の予知はできない」と断言している。

予言ブームは繰り返される

 それでも「7月5日」が間近に迫った今、テレビをはじめメディアは盛んに“予言”を取り上げ、世間の関心は高まるばかり。

 今年5月には、刊行から3年半の時を経て『私が見た未来 完全版』の国内累計発行部数が100万部を突破。出版不況が叫ばれるなか、空前の大ヒットを果たしている。

 そして、6月27日より全国公開されるのが、映画『2025年7月5日午前4時18分』。都市伝説と科学、サスペンスが交錯する新感覚ホラーで、噂の予言漫画の映画化と話題に。ただし書籍の販売元の飛鳥新社は、

映画の内容については一切関知しておりません。映画タイトルが示す具体的な日時を著者が述べているわけではないことを強調させていただきます

 と声明を発表。事実、「4:18 AM」は、たつき氏が“予知夢”を見た時間を指し、この時刻に大災難が起こるとは明言されてはいない。

 これを受け、映画の公式サイトも《「7月5日に破滅的な災害が起こる」とネットを中心に広まっている噂をモチーフにしたオリジナルストーリーであり、たつき諒氏並びに同氏の著書とは一切の関係がございません》と謝罪文を掲載している。

 振り返れば、20世紀末の人類滅亡を予言したといわれる「ノストラダムスの大予言」をはじめ、終末予言はこれまでたびたび繰り返され、人々の不安をあおってきた。

 私たちはそれら予言の不確実性を知っているはず。それでも予言に振り回されてしまう、その理由をHALがこう語る。

「私たちは予言に何かを求める傾向はあると思います。特に今のように経済や世界情勢が混乱しているときは、不安の集団意識であふれています。なので、少しでも先を見ようとした結果、予言に振り回されてしまうことがあります。

 今回の予言について聞かれるたび、私は“まったく当たりません”と明言しています。それでも自分が生きている今の現実を壊したい、うまくいかない人生をリセットしたい、いずれこの世がなくなるなら今の苦しい人生を終えられる。そんなふうに思う人も実は結構多いのです。ですから予言ブームは繰り返されます

 「2025年7月5日」まであとわずか。巷を騒がす“予言”の結末は─。

7月5日の予言の日、HALが情報の検証を行う講演を開催。元TOCANA編集長でオカルト研究家の角由紀子氏との対談や、参加者とのQ&Aを予定。詳細はinfo.salonunei@gmail.comへ。

取材・文/小野寺悦子