《南海トラフ地震の想定をはるかに超える壊滅的な大津波が襲う映像が日本列島を襲うのがみえた》とするたつき氏の予言は、不安をいやが応にもかき立てる。

人はネガティブな話題に強く興味を惹かれる

私のもとにも多くの人から予言についての質問をたくさんいただいています

 とHALは語りつつ、この騒動に釘を刺す。

「先に起こることを正確に言える人は大変少ないもの。それに私たちが生きる世界が経験を通して学ぶ世界なら、本当の賢者ほど先回りした予言などしないと思っています

話題になった、たつき氏の著書『私が見た未来完全版』。その予言は一部マニアから一般人にも飛び火して……
【写真】【写真】東日本大震災の日付が……予言的中と話題の1999年発売の漫画の表紙

 SNSが発達した現在は、噂はとりわけ拡散されやすい。実際SNS上には「7月5日」に関する投稿が後を絶たず、なかには来たるべきXデーに備え、《すでに避難した》《災害に向け準備している》などの発言も見られる。

 さらに、ユーチューバーを中心に、噂に便乗するケースも出没。「7月5日」の予言を謳い文句に危機感をあおり、イベントに高額な参加費を募る事例も発生している。

人は、ネガティブな話題や個人的な事柄に関する内容に、より強く興味を引かれるといわれています

 とHALはスピリチュアルに引かれる人々の心理について解説する。

「人は、その噂が自分と関連する事柄だと認識しないと、ほとんど興味を持つことはありません。けれど一度、ある特定のコミュニティーで話題になると、同じ価値観を持つ人同士の集団心理や個人的な思考が含まれて伝わり、そこで誇張され、歪められた内容が広がっていきます。

 科学的なデータであれば言い逃れはできませんが、今回のようなスピリチュアルなものは確固たるデータ資料がなく、多数の興味を引く噂話としてユーチューバーが動画に取り上げやすかったという背景もあると思います

 “予言”の噂は国内にとどまらず、海外へも波及している。たつき氏の漫画は中国語や韓国語にも翻訳され、アジアでも知る人は多い。とりわけ香港は風水を重んじる国民性に加え、人気ユーチューバーが発信したことで、噂が一気に拡散された。

「7月5日」を前に観光客の来日中止や延期が相次ぎ、飛行機の便数が減らされるという異例の事態も起きている。予言は臆測を呼び、噂は雪だるま式に膨らんでいる。もはや国を超えた社会現象といえよう。

「さまざまな臆測に振り回されそうになったら、まずは歴史を振り返ってください。物事には必ず規則的なループが存在しています。それは地球が絶えず自転しているから。例えば、歴史に残るような大地震や火山の噴火は、歴史をたどると、周期的に起きていることがわかります。

 私たちが住む地球が自転というループを繰り返している以上、人間も含め地球上で起こるあらゆる物事には周期が存在します。臆測については、まず歴史を振り返り、数字で表すことができるデータを収集するようにしましょう。

 単なる噂話からはデータを取ることができないはずです。データ化する作業をしていくと、自分にとって本当に必要な情報なのか自然と振り分けられるようになるでしょう」(HAL)