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ー 企業にとって出稿は“ギャンブル”の時代

 紀行をテーマにしたクイズ番組『世界ふしぎ発見!』(TBS系)が来年3月にレギュラー放送を終了する。

「『ふしぎ発見』は1986年に放送が開始された長寿番組。今年4月に約37年間MCを務めた草野仁さんが勇退し、後任としてフリーアナウンサーの石井亮次さんが就任しました。草野さんは『クイズマスター』という、出演者にヒントを与えるポジションで引き続き出演しています。レギュラー終了後の来年4月からは、特番で放送されるそうです」(テレビ誌ライター)

 石井が就任してから視聴率は上向きだったにもかかわらず、再スタートを切ってからわずか半年で放送終了が決定。ネット上では、

《高校生の時からずっと見ていました。寂しい限りです》

《子どもの頃、家族みんなで観ていたのでショック》

 など、別れを惜しむ声があがった。

 TBS関係者によると、レギュラー終了には“グローバルな理由”があるようだ。

番組の冠スポンサーである『日立』が“費用対効果”を考慮してスポンサーを降りることになったんです。海外での売り上げが増え、“日本で多額の宣伝費をかける必要がない”と判断したそう。お茶の間の消費者ではなく、対企業での販促を強化する方針となったのもスポンサーを降りる一因でした」

 元・テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道さんによると、スポンサーになること自体が企業にとってコスパが悪いらしく……。

「以前は幅広い年齢層に親しまれていた『ふしぎ発見』ですが、最近は、視聴者の高齢化が進んでいます。つまり、メインスポンサーの『日立』が多額の制作費を払っても、CMが高齢者にしか届かない。ほかの方法にお金をかけて宣伝したほうが効率的だと考える企業も増えてきています」

 ほかの番組でも、そういった理由でスポンサーを降りる企業は増えそうだ。

「『ふしぎ発見』のような海外ロケがある番組は、制作費がかさむために“割に合わない”と判断されてしまうでしょう」(鎮目さん、以下同)

企業にとって出稿は“ギャンブル”の時代

 ドラマのスポンサーも、企業にとって都合が悪い点が多いという。

「制作費の高さの割には、ヒット作があまり出ていないからです。7月期にTBS系で放送された『VIVANT』のように話題になれば、企業にとってもオイシイですが、必ずしも作品が当たるとは限りません。そんなギャンブル要素の高さも、スポンサー企業の懸念点となる可能性があります。また、出演者のスキャンダルでお蔵入りや撮り直しなど、トラブルが起こる可能性もありますからね」

 そんな中で、新たな発信方法へシフトするグローバル企業もあるようだ。

テレビでは、企業の伝えたいことを明確に発信できないという点もスポンサー離れの要因だと思います。トヨタが運営する自社メディアの『トヨタイムズ』が最たる例ですが、企業自らが発信していく流れも強まっていくでしょう」

 新MCに就任したばかりの石井もガックリだろうが、テレビ番組は今後、“コスパの壁”を乗り越えることができるのだろうか。