かつて数々のワイドショーでレポーターとして活躍し、現在は東京・目黒区の区議会議員を務める須藤甚一郎。

1967年、昭和42年に女性週刊誌の記者となった須藤は、いくつかの雑誌で経験を積みながら、’71 年に創刊された『微笑』(祥伝社)の立ち上げメンバーとなる。週刊誌の記者ながらゲストとしてワイドショーには出ていたが、’77 年からは『アフタヌーンショー』(テレビ朝日系)の正式なレギュラーとなり、番組が終了する’85 年まで出演した。そんな彼に思い出深い芸能取材について語ってもらうことに――。
須藤は芸能人が会見を開けば、視聴者が聞きたいことをズバリと切り込む質問をした。
「息子の事件で三田佳子を僕がイジメたなんて言われるけど、遠慮してたらダメなんだよ。全部を聞き出してあげることで救われることだってあるし、しゃべりやすくもなる。記者会見というのは向こうの言いたい放題にしちゃダメなんです。三田はその後、別の機会で会ったときは向こうからわざわざ挨拶に来てくれたよ。それまで応援してくれたファンがいるんだから、何かあったらちゃんとした説明は必要なんだ」
だから、今の芸能人がFAXやブログで結婚などを発表して終わり、という風潮はファンをバカにしているという。
「かつて芸能人の子どもが七五三のときは、向こうから取材に来てって言われたんだから。そうやって取り上げられるのも人気の証だった。芸能人だって晴れ姿は見てほしい。とくにファンには見せたい。隠すなんてとんでもない」
当時のテレビだって放送できないことはあった。個人情報保護法が成立したり、名誉毀損で負けたメディアへの賠償金が上がったという事情もある。しかし、それでもいまのテレビにダメ出しをする。
「だってテレビに出ているタレントが自分ちの壁に落書きされた当事者なのに、それについて何も言わない。そんなことも言えないで世の中のことをえらそうにコメントしても説得力がないよ。取材もしないでわかったようなこと言うタレントや、ろくなコメントもできないお笑い芸人を並べたって、そんな番組は誰が見るもんか!」
須藤のようなレポーターが活躍できるワイドショーがいまのテレビで見当たらないのは、やはり寂しい。