経費の件は、まったくきれいにしていないとアウトというのが令和の今。同時にスターディレクターは、パワハラでも足元をすくわれたという。
「テレビ局には匿名でメールが送れるホイッスル制度があり、現場で不満を持った、立場の弱いスタッフが番組の幹部社員を指すことが増えていますよ」
と冒頭の番組制作スタッフ。次のように続ける。
現場スタッフはお払い箱
「ただその狙いは、気に入らない社員を移動してほしい、という思いです。今回のように番組まで終了するというのは、告発者側は考えていない。だってそうでしょう、自分の職場がなくなり、生活が脅かされるということですから」
テレビ朝日は社員を懲戒処分にすることと番組の打ち切りを発表した。
「局員はいいですよ。部署が変わろうが、年収1千万円以上を補償されるわけですから。薄給で働いている現場のスタッフは、番組がなくなればお払い箱です。そういう契約を交わしています。非常に弱い立場です。番組の放送枠には必ず後番組が入りますが、そこに自分が残れる、もしくは入れる保証はまったくないんです。
要するに、現場のスタッフがパワハラやセクハラを告発すると、社員の処分と同時に番組が終了することがあるということが、今回のテレビ朝日は示したわけです。番組がなくなってもいい、番組と心中していいと思うスタッフでない限り、今後、パワハラやセクハラを告発しにくいことになります」
不祥事を起こした局員は守られて、パワハラを正直に告発した下請けスタッフは仕事を失う……。今回の“テレ朝”ショックは、テレビ業界で働く下請けスタッフをただただ委縮させるだけだ。