また、空港内に“動く歩道”が完成すると、

ここからここまでは日テレ。ここからここまではフジと各局指定のエリアが決められるようになりました。その前を芸能人がスーッと動く歩道で移動していく。だから、私たちは追えないし撮れ高も少なかったから、各局が撮影した素材をみんなで共有するといったこともしていました

ワイドショーとゴルフは切っても切れない

 もしかしたら“動く歩道”は、ワイドショー対策だったのかも!?

 また、ワイドショーといえば、生コマーシャルや素人参加型のコーナーなど、ハプニングもつきものだった。

ハワイに到着した芸能人を直撃する芸能リポーターたち
ハワイに到着した芸能人を直撃する芸能リポーターたち
【写真】平成のワイドショーの定番だったハワイ取材や歩く歩道での直撃シーン

私も生コマーシャルで空気清浄機の実演をしたことがあるのですが、リハーサルではうまくいったのに、本番では空気清浄機がまったく煙を吸ってくれなくて(笑)。なんとかアドリブで乗り切りました

 もちろん、こうした予期せぬトラブルは現場でも起こりうる。ワイドショーは、芸能人の悲喜こもごもだけではなく、事件を扱うことも多々あった。その一つが、オウム真理教だ。

当時、私は“上祐番”として上祐史浩さんが現れる現場に張りついていました。その中で起きたのが、南青山にあった教団東京総本部前で最高幹部の一人・村井秀夫氏が刺殺された事件です。私の目の前で起きた事件で、当時の映像には私の声も残っているくらい

 ワイドショーはたしかに下世話だろう。一方で、画面から生々しさが伝わってくるがゆえ、社会の雰囲気や世論を感じることができた装置であったことも間違いない。

 ちなみに、山崎さんが芸能リポーターとして初めて訪れた現場は何だったのかと尋ねると、「芸能人がたくさん集うチャリティーゴルフ大会」との返答が。ああ、懐かしい! 

 今思えば、なぜ芸能人がゴルフをしているだけの現場に突撃する意味があるのかさっぱりわからないけど……。

何かしらネタにつながるかもしれないということで、ゴルフ大会に行くことが当たり前になっていましたね。でも、後に石田純一さんの“不倫は文化”騒動につながる発言も、ゴルフ場に突撃したことがきっかけでしたから、ワイドショーとゴルフは切っても切れないのかも(笑)

チャリティーゴルフイベントは芸能取材の王道
チャリティーゴルフイベントは芸能取材の王道

 現在も、週刊誌は突撃取材をすることが珍しくないが、スクープを取るために、かつてはテレビでもワイドショーが盛んに突撃していた時代がある。

「私が突撃した中で最も印象に残っているのが、不倫が発覚した故・古谷一行さん。自宅で張り込みをしていると古谷さんが車で戻ってきた。無言を貫いたまま、そのままガレージのシャッターが下がっていく中で、私はどうしてもひと言欲しかった。

 『不倫は事実ですか? 古谷さん、ひと言!』と必死の思いで聞くと、閉まりゆくガレージの奥から『そのとおり!』って古谷さんの声だけが響いて。妙に感動しました

 その後、古谷さんは「関係を持ったことは後悔していないが、表沙汰になったことは後悔している」と記者会見で関係を認めるまでに。しかし、その実直な姿がかえって好感を呼び、古谷さんの株は上がった。

記者会見ではなく、現在は公式ホームページやSNSで声明を発表する芸能人が増えました。ですが、会見は“生”の声が伝わる場ですから、その人の人となりが視聴者に伝わります。結果的に、会見をしたことで評価を上げる芸能人もたくさんいる