その最たる例が、故・勝新太郎さん、故・立川談志さん、ビートたけしといった面々だろう。
芸能レポーターは悪役に徹する
「未成年女性への淫行疑惑の渦中にあった狩野英孝さんの謝罪会見もそう。私たちリポーターはあえて悪役になろうと厳しい質問をします。私たちだって人間ですから本当はフォローをしてあげたい。ですが、中途半端な態度で臨むとかえって世間の風当たりは強くなる。
こちらが悪役に徹することで、受けきった当事者である芸能人に対して、世間はフラットな目を持ちやすくなります。すべての記者会見にいえることではないけど、記者会見にはそういった側面もあったということは知ってほしいですね」
自分の声で伝えられる芸能人の数はめっきり減った。危機管理とは、弁護士が用意した文面を読み上げることや無言を貫くことではなく、自分の言葉で誠心誠意、ファンや視聴者を安心させることだと思うのだけれど。
とはいえ、そんな肩肘張って難しく見るものでもないのがワイドショーだ。あーだこーだと言いながら、煎餅なんかをかじりながら見るくらいがちょうどよい。山崎さんが、自身の芸能リポーター人生を振り返る中で、忘れられない事件を語る。
「いろいろ取材をしてきたのですが、若人あきら(現・我修院達也)さんの失踪事件が個人的にとても印象に残っています。何が起きたのかを探るために若人さんが消えたという熱海市や目撃情報のあった川越市などにも行って、そのナゾを追ったんですけど……結局、何だったんだろうって(笑)」
こんなゴシップを公共の電波に乗せて朝と昼に放送していたという奇跡! 粗にして野だが卑ではない。ワイドショーは、立派な昭和遺産なのだ。
取材・文/我妻弘崇
山崎寛代 FM群馬での勤務を経て、TBS系『3時にあいましょう』『スーパーワイド』、テレビ朝日系『スーパーモーニング』などワイドショー・情報番組でリポーターを務める。現在はテレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』などに出演中