備蓄米の放出でも価格高騰のワケ

 待望の備蓄米も、期待するほど安価にはならない、と森永氏は言及する。

備蓄米にしても、競争入札方式になってしまっている。高く提示した人が買える仕組みですから、結果的に安価なコメがたくさん流れてくるということにはならない。備蓄米の放出によって供給が増え、大幅に価格が下がるだろうと期待するところではあるけれど、そうとは限らない

 コメ不足は消費者はもちろん、各種企業も打撃。セブンーイレブン、ローソン、ファミリーマートの大手コンビニエンスストア3社は、おにぎりの値上げに踏み切った。

「ただ値上げはなるべく抑えようと努力はしています。小売業の動きを見ていても、コメのかわりに麺やパンなどに移行している。

 お弁当はご飯プラス麺のセットにすることで価格を据え置きにしたり、おにぎりにしても、海苔(のり)を減らしたり、海苔なしのおにぎりにすることでご飯の量を変えずに値上げを防いだりと、各社工夫を凝らしていますね」

 備蓄米放出の効果はまだ薄い。今後の政府の動きは?

「アメリカとの関税交渉で、アメリカからコメの輸入を増やすという話もあります。ただ難しいのが、あまり輸入に頼ると、今度は国内のコメ農家にしわ寄せが来てしまう。それにアメリカと仲がいい間はいいけれど、もし関係が悪化して、日本に輸出しないとなったらどうなるか。

 いろいろリスクがあるので、海外から輸入するにしても、国内の農家への所得補償など、対策をしないといけない。そう考えると、政府が今できることはほとんどないと思います

 問題は山積みで、事は簡単には運ばない。コメの価格はこの先下がる見込みはあるのだろうか。

このまま今の勢いでずっと上がり続けることはないと考えています。備蓄米の流通網の流れが少しスムーズになってきているので、そういう意味では、多少落ち着いてくるのではないでしょうか。

 すぐに以前のような値段に戻るというのは期待できないけれど、価格自体は下がっていく可能性はある。

 これから少しずつ状況が変わってくるのではないかと予測しています」

空の棚が埋まったと思えば、価格は倍近くに…… ※写真はイメージです
空の棚が埋まったと思えば、価格は倍近くに…… ※写真はイメージです