この時、詳細は公表されなかったが、おそらくは「インピンジメント症候群」だったのだろう。この時、投球練習を再開させるまでに約1か月かかり、マウンドに立ったのは8月1日。復帰までに2か月間の“療養”を要したのだった。
「ロッテ時代も同様に、当時の精密検査で異常は発見されなかった聞きました。ですが、本人が“違和感がある”と言っている以上、聞き入れざるを得なかったのが吉井理人監督(60)や球団フロントでした。
万一にも無理させて大きな故障につながれば、“将来のサイ・ヤング賞候補を潰した”と国内外から批判を浴びるため、佐々木の扱いには気を使い、本人の意思を尊重し続けたようです」
佐々木は「有能な選手の1人」にすぎない
2020年のプロ入りから、時に“過保護”とも形容されるほどに慎重に育てられた佐々木。高校時代にも、甲子園出場をかけた決勝戦で「故障予防のため」との理由で出場しなかったことに賛否も起きた。どこまでも“お客様扱い”とも言える待遇に、彼自身にもどこか「甘え」があったのかもしれない。
しかし、メジャーではそんな「甘え」は許されないーー。
「日本では“10年に1人の逸材”に数えられる佐々木投手ですが、毎年のようにアメリカ国内、中南米から才能ある選手が入ってくるのがメジャーです。しかも彼の場合、“25歳ルール”に反して入団した経緯もあります」
オリックスバファローズからポスティングシステムでドジャースに移籍して、総額3億2500万ドル(約463億円)で契約した山本由伸(26)に対して、期間を2年早めたことによって650万ドル(約10億円)で“買い叩かれた”感のある佐々木。
「メジャーで大型契約を勝ち取るには、少なくとも3年間は結果を残す必要があります。その間に無理して右肩痛を再発させ、万一にも手術で長期離脱することになればリリースされる可能性もある。たとえ彼が潰れようとも痛くも痒くもなく、ドジャースはまた逸材を発掘、補強すればいい。そんなシビアな世界ですから」
いつの日か、心の底からロッテに感謝する日が来るのかもしれない。