両親がデザイナーで、スウェーデン・ストックホルムで生まれ育った川上さん。日本で北欧ブームが起こる前から、北欧のデザインやインテリアには慣れ親しんできた。
芸能界だけでは物足りなさを感じていたのかも
「実はスウェーデンで人気があるものと日本で流行っているものは違うんです。例えば日本で人気の、リサ・ラーソンの猫をモチーフにした商品もスウェーデンだと少ないです。だからスウェーデンの人が日本に来ると、北欧ブームにびっくりされるんですよ。自然を扱った北欧のデザインに日本人は憧れがあるんですよね」
北欧デザイン好きの日本人だけでなく、日本に旅行中のスウェーデン人も多く訪れ、「スウェーデンでもこれだけ集めているお店はない」と褒められるそうだ。
「今、人気なのはダーラナホースという、スウェーデンのダーラナ地方で誕生した木馬です。幸せを呼ぶ馬といわれていて、縁起がいいんです。赤い馬でお祝い品にもおすすめ。私は来年、還暦を迎えるのですが、丙午世代なので、還暦のお祝いにもぴったりです」
コロナ禍では俳優業が制限される中、小物デザインの店があることが支えになったという。
「俳優はイメージが大事ですし、副業でお店を経営することにいい顔をしない人も少なくありません。特に昔は『一つのことを集中してやりなさい』という雰囲気でした。
でも俳優のほかにも活動する場所があると、いざというときに生き抜く力になります。お客様の生の声を聞く機会が多いのも、『そんなふうに思われているんだ』と意外な発見があって面白いですね」
最近は百貨店の催事に出店することも増え、自ら接客するという。「百貨店の朝礼に出席するのも新鮮なんです」と、ビジネスパーソンとしての顔ものぞかせる。
「10代から俳優を始めたので、バイトをしたこともなかった。だからお店で初めてレジを打つときはすごく緊張しました。そんな素人でよく続いたなあとは思いますが、芸能界だけでは物足りなさを感じていたのかもしれません。
後で気づいたのですが、母と私は商売が好きなんです。母方の家系はお店をやっていて、働き者の家だったらしく、どうやら商売人の血を受け継いでいるようです」
川上さんの母は87歳になるが、来年は大きな仕事を控えているという。父親とともに自立した生活を送っているが、今年に入って母が股関節の手術をし、入院することがあった。
「そのときは3日に1度、実家に帰って、父のために食事を作ったり、掃除をしたりしていました。父は元気ですが、足腰が弱っていて外出は難しくなっています。仕事もある中で実家へ行き来するのは大変でしたが、父親と一緒に過ごす時間が増えたのが楽しいという思いも。
私はひとりっ子なので、今後、親の介護をどうするかはひとりで判断していかなければなりません。不安もありますが、その都度、学んでいくしかないですね」