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ー 『国宝』よりもドロドロな歌舞伎界

 歌舞伎の世界に生きる若者を描いた映画『国宝』が、実写邦画として22年ぶりに興行収入100億円を突破した。

『国宝』よりもドロドロな歌舞伎界

「吉田修一さんの同名小説が原作で、任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者の家に引き取られ、歌舞伎に人生を捧げる主人公・喜久雄を吉沢亮さんが好演。

 喜久雄を引き取る歌舞伎の名門の当主・花井半次郎を渡辺謙さん、その息子で生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介を横浜流星さんが演じて、それぞれが輝きを放っています」(映画ライター)

 歌舞伎に詳しいジャーナリストが語る。

「実際の歌舞伎界は映画より魑魅魍魎の世界。そこに吉沢さんや横浜さんのような爽やかさはありません」

 映画では“血縁”という後ろ盾を持たない喜久雄の苦悩が描かれているが……。

「血縁に恵まれながらも後ろ盾を持たなかったのが香川照之さん。父・市川猿翁さんは女優の浜木綿子さんと結婚し、香川が生まれたのに16歳年上の藤間紫さんと不倫、妻子を捨てました。

 芸能界に入った香川さんが父を訪ねると“あなたは私の息子ではありません”と言い放ったのは有名な話。その屈辱を晴らすべく、香川さんは2012年に市川中車として息子の團子さんとともに澤潟屋の一門に加わるのです」(同・ジャーナリスト、以下同)

 恩讐を越えた先が見えたかと思ったが、

「結局、猿翁さんは香川さんのことを“怖い”と言っていたそうで、息子に愛情は生まれなかったようです」

 血統に環境がそろっていても、とんでもないことが起きるのが歌舞伎界。

「2023年に市川猿之助さんの父・段四郎さんと母が共に倒れているところが発見され、猿之助さんが自殺幇助の罪で逮捕・起訴されたのは記憶に新しい。一時は殺人疑惑もかけられ、梨園のみならず芸能界を震撼させました」

 そんな猿之助も近々復帰するというから歌舞伎界はやはり異常な世界。

 異様といえば、この場面を思い出す人も多いのではないだろうか。

「市川海老蔵(現・十三代目市川團十郎)さんが巻き込まれた暴行事件です。2010年に六本木の飲食店で関東連合の男とトラブルになり、左頬を陥没骨折、前歯の損傷など顔面全体に大ケガを負った。

 会見では“おごりが招いた”としおらしいことを言っていましたが、今でも俺様節は健在。またそのうちトラブルを起こすのでは」

 海老蔵のスキャンダルはこれだけではない。

「2003年に当時1歳になる女児がいることが発覚しました。このとき海老蔵さんはまだ25歳。深夜に会見を開いて子どもを認知しているが結婚はしないと明言しました」

 映画『国宝』では主人公が隠し子スキャンダルとともに干されたが、海老蔵が干されることはなかった─。