宇多田も当時のツイッター(現X)にて、
【里に降りてきたクマを、麻酔銃を使って捕獲して森へ返すには、お金がかかるんだってね。予算も足りないと。だから、安上がりで早い、射殺になってしまう。クマを森へ返すための予算を管理してる機関があるなら寄付したいな。ちょっくら調べるぞ!】
【ベストは住民が家で静かにクマが去るのを待つことだけど、そう出来ない場合もあるだろうし、自分たちの里を守るためにどうにかしようとする人たちもいるはず。そんな時の対処として射殺よりは捕獲して森へ返すほうがまだいい。今すぐできることもやりつつ根深い環境問題も勉強したいです。】
クマを駆除する論調に疑問を持っていたのだろう。自ら“放獣”の道を模索してみせ、のちに「日本自然保護協会」といったクマとの共存を目指す団体を紹介している。
そしてクマ出没が再び大体的に報じられたのが2021年6月、北海道札幌市東区の住宅街にて身長160センチ、体重158キロのヒグマが4人を次々と襲う獣害事件が全国ニュースになったのだ。同区でのクマ被害は実に143年ぶりの出来事だった。
「人間にとって脅威でもある生き物」
この翌月、7月15日付で発行された『読売KODOMO新聞』の巻頭では【くまって「めいわく?」】との特集記事が組まれたのだが、ここにコメントを寄せた宇多田。同日配信のWeb記事では掲載された全文では、自身と「くまちゃん」との出会い、「テディベア」の歴史などを読み解く宇多田だが、2010年の投稿とは少々異なった“葛藤”が垣間見える一文も。
【本物のクマはとんでもなく強く、人間にとって脅威でもある生き物ですが、こんなに「かわいい」と思えるのはなぜでしょう?】
クマ自体には変わらずキャラクター的な「かわいい」要素を示しつつも、これまでには語られなかった「人間にとって脅威でもある生き物」と、時に人間の生命をも脅かす害獣にもなり得る、との認識も披露したのだ。
「2021年の襲撃事件以降、北海道ではヒグマとの遭遇や被害報告が多発し、2025年は史上最大の被害額を出している秋田県をはじめ、全国各地でツキノワグマによる物的、人的被害が増え続けています。学習能力が高いクマにはもはや“放獣”は被害を拡大させる、それこそ“人間にとって脅威でもある生き物”になる可能性があることを認識すべき時が来ているのかもしれません。
10月には閣僚会議にてクマ被害対策を講じ、“緊急銃猟”といった迅速な駆除ができるよう早期実施に向けて協議しています。それほどの“国難”になりかねない状況で、この後に及んで“かわいそう”論が出るのは、長年にわたる“クマ=かわいい”が刷り込まれているのかな、と」(前出・記者)
2024年のデビュー25周年には『くまちゃんARサイト』との企画サイトをオープン(現在は閉鎖)させるなど、依然として“くまちゃん愛”自体は変わらない様子の宇多田。『ぼくはくま』の歌詞にある、【けんかはやだよ】は誰に向けての呼びかけだったのだろうか。











