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ー ヒット作に2本出演した松村北斗が選考漏れ

 11月10日、映画賞のトップを飾る『報知映画賞』のノミネート作品が発表された。実写邦画作品としては、興行収入歴代1位が目前となった『国宝』が最多となる6部門8ノミネート。興行収入が10億円を突破した『爆弾』が5部門6ノミネートとなった。

ヒット作に2本出演した松村北斗が選考漏れ

 今年は邦画の当たり年との呼び声も高いだけに話題作が並ぶ結果となったが、SNSでは不満の声も上がっている。

「興行収入28億円超えの『ファーストキス 1ST KISS』で主人公の夫役、20億円が目前の『秒速5センチメートル』で主演を務めた松村北斗さんや、『国宝』など話題作に立て続けに出演した森七菜さんらの名前がなかったんです。

 また主演女優部門で河合優実さんが『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』でノミネートされているのですが、公式サイトでも同作の主演は萩原利久さんとしっかり表記されているので、ツッコミが相次いでいます」(映画ライター)

 映画人口の減少に歯止めがかからない時期だった1976年、「映画界をもう一度盛り上げたい」という想いからスタートした同賞。読者参加型が最大の特徴で、ファン投票上位から報選考委員会で各賞を選定している。

各部門、読者投票1位に関してはノミネートされることが決まっているものの、それ以外に関しては選考委員会が決めるため、毎年映画ファンを中心に“選考方法が不透明では”という声が上がっています」(スポーツ紙記者)

 映画賞は興行収入よりも作品の評価が重視されるだけに、必ずしもヒット作がノミネートされるものではないものの、今年の『報知映画賞』はそういう観点でも疑問が残るという。

「『秒速5センチメートル』に関しては新海誠監督のアニメ作品を実写化した作品のため、“実写映画としてはノミネートには値しない”と判断されたのかもしれません。

 しかし、コロナ禍の初期、豪華客船『ダイヤモンド・プリンセス』で集団感染が発生した際の舞台裏を描いた骨太な社会派作品『フロントライン』がすべての賞でノミネートから外れている一方、エンタメ路線の『ブラックショーマン』が作品賞や主演男優賞、助演女優賞に入っているのは、評価軸が謎すぎます」(同・スポーツ紙記者)

 制作費25億円を投じたものの興行収入面では大コケしてしまった妻夫木聡主演の『宝島』も、主演男優賞と助演男優賞、助演女優賞のみとなっている。

史実に記されてこなかった戦後の沖縄を描くという心意気は素晴らしく、出演された俳優たちの熱演はとても見応えがありました。ただ長い原作を上手くまとめられておらず、映画としての完成度としては決して高いとは言えないので、俳優陣のみがノミネートというのは妥当という印象です」(前出・映画ライター)

 一方で、こんな声も。

今年は興行収入面でも作品の完成度という意味でも『国宝』が映画賞を総ナメにするのは間違いないでしょうから、そのほかのノミネート作品に関しては幅の広さを出したかったのかもしれませんね」(配給会社関係者)

 受賞作が決定する前から大荒れの『報知映画賞』。大本命の『国宝』以外が受賞という番狂せで、再び大荒れ……なんてことにならなければいいが。