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ー ガラケー型端末の寿命は10年から15年

 2026年3月、国内で3G回線に基づくモバイル通信サービスが完全停止する。多くのユーザーがすでに4Gや5Gに移行する中、ガラケー(フィーチャーフォン)を愛用し続ける人々がいる。

 タレントでコラムニストのマツコ・デラックスは、ガラケーを使い続ける理由をバラエティー番組で「現代文明にあらがい続けるため」と断言。「ガラケーが使えなくなるときは死ぬとき」とまで発言し、その愛着を隠さない。

 そんなガラケー愛好者の一人が、自民党所属の参議院議員、鈴木宗男さんだ。携帯電話が普及し始めたころから使い続けてきたという鈴木さんは、スマートフォンへの乗り換えを一度も考えたことがないという。

ガラケー型端末の寿命は10年から15年

「ガラケーは字が大きい。それなりの年齢のわれわれには使いやすい」

 と鈴木さんは語る。

 二つ折りで持ちやすく、ポケットにスッと入る。ボタンは押しやすい。

「妻からは『お父さん、今どきスマホを使えないのは情けないわよ』なんてバカにされることもありますが、ガラケーが私には合っているんですね。電話でしゃべるほうが早いでしょう」(鈴木さん、以下同)

 鈴木さんのガラケー使用は徹底してシンプルだ。検索はもちろん、写真撮影もメール送信もしない。スケジュール管理は事務所のスタッフに任せているため、もっぱら通話のみ。事務所や関係者からの連絡を受け、指示を出す。それだけのためにガラケーを持っている。「連絡用に一番便利なのはガラケーだ」という言葉に、実用一辺倒の姿勢が表れている。

 実際、通話に特化したガラケーには利点が多い。30分の充電で1日持つバッテリーは、頻繁に電話がかかってくる鈴木さんにとって心強い。夜間、暗い場所でも大きな文字が見やすいのもありがたい。スマートフォンの多機能性は、鈴木さんには「余計なもの」でしかないのだ。

 なお、3G終了後も、4G対応のガラホ(ガラケー型スマートフォン)を選べば、当面の使用は可能だ。都市部では主流となりつつある5G回線だが、まだ山間部や地方には普及していないため、4G回線が2030年代中盤まで維持される見込みといわれている。かつ、ガラケー型端末の寿命は10年から15年程度と予想されている。

 しかし、鈴木さんの本音は別のところにある。「あと5年はガラケーを残してほしかった」。参議院の議員任期中はガラケーとともにありたかったという思いがにじむ。

「ガラケーのおかげで、仕事が順調にできました。事務所の連絡も日程の調整も、滞りなくこなせた。最後の最後まで、ガラケーを大事にしてやっていくつもりですよ」

 時代の流れには逆らえない。それでもなお、使い慣れた道具への愛着は消えることがない。鈴木さんが握りしめるガラケーは、シンプルさの価値を静かに物語っている。