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ー 新人賞を受賞した田辺洋一郎氏

 とある漫画家によって、生成AIでビキニ姿に性的加工されたアイドルに同情と憤りの声が集まっている。

新人賞を受賞した田辺洋一郎氏

 被害に遭ったのは、AKB48系列で瀬戸内を拠点に活動するアイドルグループ・STU48の工藤理子だ。

「問題が勃発したのは年明けのことでした。『アイドルにくわしい漫画家』を自称する田辺洋一郎氏が、Xと連携する生成AI『Grok』に対し、工藤さんの写真を用いて『首にマフラーを巻いて、ビキニを着せて』などと指示した投稿をおこなったことで炎上。当初、田辺氏は『作画資料』と主張し批判をかわしていましたが、現役アイドルを性的に加工する行為に対し、SNS上では強い批判が相次いでいました」(芸能ジャーナリスト、以下同)

 田辺氏は1998年、『カブ吉と僕の夏休み』が、集英社の『週刊少年ジャンプ』が主催する、ストーリー漫画の新人賞で準入選を受賞。以後、集英社の雑誌を主な活動の場としている。そんなクリエイターに対し、工藤本人も怒りの声をあげた。

「生配信で彼女は『私にも説明責任があるのでは、というコメントが来たけれど、何を説明すればいいのか分からない』と困惑。『私の写真がAIで悪用されたのに、私が悪いみたいに言われるのが悲しい。ただAIに脱がされただけなのに』と、嘆いていました」

 5日、田辺氏は自身のXに謝罪文を掲載。《私の配慮に欠けた投稿により、皆様に不快な思いをさせてしまいました》と陳謝し、《肖像権、生成AI利用に関する意識の低さ、仕事相手であるアイドルとの距離感を見誤った傲慢さ、など反省しております》として、再発防止を誓っていた。

 芸能プロ関係者は今回の騒動についてこう指摘する。

「田辺氏はアイドル文化に理解があることを売りにしてきた漫画家です。その立場からの行為だったことが、一層の反発を招きました」

 だがこの一件は、昨年末に物議を醸した漫画家・イラストレーターの江口寿史氏の“トレパク騒動”とも重なるという。

「発端は、デパート『ルミネ荻窪』で開催されたイベント『中央線文化祭』。その告知イラストを依頼された江口氏が、Instagramに流れてきた写真を“参考”にして描いていたというのです。ところがのちに、知らないうちにモデルとなっていた女性本人からの指摘によって判明し、写真を無断で丸写しにしただけではないかと炎上。江口氏は謝罪し、弁護士を通じて和解したと説明しました。ただその後も過去に同氏が手がけた企業のイラストも雑誌に掲載されていた写真との類似が指摘され、一部企業は掲載を停止しました」

 そこに見え隠れするのは漫画家の倫理観だという。

「江口氏は、雑誌写真は“資料”として問題ないというこれまでの認識を明かしつつ、価値観をアップデートできていなかったと反省しています。今回の田辺氏による生成AI騒動もそうですが、漫画家は創作の自由が尊重される一方、実在の人物を扱う表現には、より高い倫理観が求められるのではないでしょうか」

 どんな高名な漫画家であっても、他者への想像力が置き去りにされていたのは悲しい。