『パーシー号』の収益化について

『パーシー号』に改装することで、どの程度の収益化が見込めるのだろうか。

「個別の具体的な収支につきましては回答を差し控えさせていただきますが、『きかんしゃトーマス号』をはじめとするキャラクター関連事業は、従来のSLファン層に加え、ファミリー層を中心とした新たな顧客層を広く呼び込む力を持っております。

 乗車率の向上に加え、関連グッズや地域観光への波及効果も大きく、当社の重要な収益基盤の一つとして確立しております。従来のSLは会社全体の収益には貢献していますが、より幅広い層に鐡道の魅力を届け、収益性を高めることで、全線復旧とSLの長期的な維持につなげるための“選択と集中”によるものです」

 発表にあたり、社内でもさまざまな意見が飛び交ったと思われるが、その実情について、こう話す。

「当社では10年以上にわたり『DAY OUT WITH THOMAS (TM)』を開催しており、蒸気機関車の意匠変更やキャラクターイベントの運営については十分な実績とノウハウがございます。そのため、今回の施策に際して社内で大きな混乱や反対意見が生じた事実はございません。

 現場の職員も、日頃から多くのお客さま、特にお子さまの笑顔に触れており、今回の新たな取り組みについても前向きに受け止めております。現在は、安全運行とサービス向上に向け、全社一丸となって準備を進めております」

 最後にSLの想いについて聞いてみた。

「当社は1976年、全国に先駆けて蒸気機関車の動態保存を開始して以来、SLを当社の“象徴”として大切に守り続けてまいりました。SLを動態で維持するためには、技術継承に加え、多大な維持コストと安定した経営基盤が必要です。

 今回の意匠変更は期間限定のイベント対応であり、不可逆的な改造ではございません。『きかんしゃパーシー号』登場によって得られる収益をSLの維持管理や路線復旧に還元し、後世に『生きたSL』を残していくことこそ、鐡道事業者としての使命であると考えております。

  今後も、『DAY OUT WITH THOMAS(TM)』関連列車をはじめ、多様な列車の運行を通じて、幅広いお客さまに鉄道の旅の魅力をお届けしてまいります」

『パーシー号』が大井川鐵道や観光客、地元住民など、さまざまな人々に幸せを運んでくれることを願うばかりだ。