防犯対策の現状

 その一方で、今回の事件には不可解な点があるという。

「ひとつ気になるのは、なぜ市場価値の高い、すぐに食べられる梨ではなく、成熟度が7割ほどの加工にしか適さない梨を狙ったのかという点です。梨の日持ちは2週間ほどでさほど長くもありませんし、そこにどんな意図があったのかは、いまだ不明です」(捜査関係者、以下同)

 佐々木さんの農園で昨年も盗難事件が起きたことを受け、地元では再発防止に向けた対策も進められてきた。

「うきは市、うきは署、JAが連携し、JAでは防犯カメラ13台を設置しています。ただ、耕地は非常に広く、JAに加盟していない農家もあります。すべてをカバーするのは難しく、最終的には個々の農家にも防犯対策をお願いしているのが現状です」

 しかし、対策が取られながらも2年連続で発生した盗難事件。被害を受けないためには、ほかにどのような対策が必要なのか。

「防犯カメラは犯行後の捜査には役立ちますが、その場で犯人を追い払う力は限定的です。本当に侵入を防ぐには、センサーライトによる強い光や大音量の警報装置を組み合わせることが重要です。“光と音”で犯行を断念させ、“防犯カメラ”で証拠を残す。この二段構えが最も効果的な対策と言えるでしょう」(中島氏)

 全国では農産物盗難が年間約2000件発生しているのに対し、検挙率は半数以下にとどまるという。丹精込めて育てた実りを安心して収穫できる日常を取り戻すためにも、一日も早い犯人の逮捕が待たれる。