プライベートで酒は飲まない

 そして、今回ひそかに注目したいのが「酒」だ。平蔵は第103回でも酒を飲んでおり、医師から「しばらく酒は控えるように」と言われるほど。ところが、太田自身はプライベートで酒を飲まないことで知られている。

「普段まったく飲まない人が、朝ドラでは酒が手放せない男を演じているわけです。しかも、今回の視聴者の反応を見ると、そこに違和感を持たれたというより、“酒飲みの演技がうまい”と評価されている。これは太田さんが自分のキャラクターではなく、平蔵という人物を演じていたからこそでしょう」(前出・テレビ誌ライター、以下同)

「想像以上にいい演技」朝ドラ『風、薫る』にて視聴者を驚かせた太田光(番組公式Xより)
「想像以上にいい演技」朝ドラ『風、薫る』にて視聴者を驚かせた太田光(番組公式Xより)
【写真】「想像以上にいい演技」酔っぱらいの好演技をみせた朝ドラ初挑戦の太田光

 実際、SNSには《飲めないのに酒飲みの演技がうまい》《あれは水だったのか!?》といった反応も見られた。

 さらに興味深いのは、太田自身が今回の役について語ったコメントだ。朝ドラ初出演が決まった際には、

「若い頃『おしん』の泉ピン子さんを見て、いつか朝ドラに出たいと思い、その為に漫才師になりました。ようやく念願が叶って嬉しいです」

 と喜びを明かしている。もちろん太田らしいユーモアも忘れていない。

「人間ドックに行く度に、採血が怖くて暴れ回り、看護師さんに迷惑をかけています」と続け、看護師を描く作品への出演に感謝を寄せた。

「太田さんは61歳になりましたが、今回の朝ドラ出演は、単なる“芸人の朝ドラ挑戦”とは少し違うと思います。本人が若いころから憧れていた舞台に、芸人として長いキャリアを積んだ末にたどり着いた。しかも、そこで見せたのが“いつもの太田光”ではなかった。そこに今回の面白さがあります」

 念願の舞台で見せたのは、芸人としての派手なパフォーマンスではなく、酒も飲まない本人が酒浸りの男を演じる、静かな芝居。“暴れない太田光”という意外な一面が、朝ドラという舞台で新たな評価につながり始めている。