羽生結弦

 3月25日から中国・上海で行われるフィギュアスケート世界選手権のリンクに、羽生結弦が立つ。だが、今回は昨年11月のNHK杯(4位)よりも体調面での不安は多いという話も。そんな彼を支えているのは、連盟でもコーチでもなく、たったひとりの女性だった。

「ライバル勢となると、カザフスタンのデニス・テンが、今シーズン好調ですし、安藤美姫さんとお付き合いをされているスペインのフェルナンデスも調子に乗っていくのではないかと思います」

 世界選手権3位の実績を持つ解説者の佐野稔氏は、世界選手権の見どころについてこう話す。ただ、日本選手初の連覇に挑む羽生だが、体調に関しては心配ばかりだ。

「昨年暮れの全日本選手権のあとに尿膜管遺残症になってしまい、それが治ってよかったなと思ったら、練習を再開してすぐに捻挫でしょ? そのへんが少し心配でも、連盟が日本代表として送り出すからには、これは面白いぞと思っています。なんせ、五輪チャンピオンがGPファイナル王者に輝いたのは、初めてのこと。やはり羽生結弦という選手は、何かすごいものを持っているんです」(佐野氏)

 佐野氏の指摘どおり、’14 ~’15 シーズンの羽生は、度重なるアクシデントに見舞われた。昨年11月、中国・上海で行われたGPシリーズ第3戦フリーの直前練習では、中国人選手と激突し、頭部やあごから流血し足首を捻挫。それでもテーピングと包帯をした痛々しい姿で出場し、銀メダルを獲得。これでGPファイナルの出場権を手繰り寄せ、連覇へつなげた。ただ、このときすでに病も抱えていた。

「昨年12月28日に全日本選手権で3連覇を達成するも、2日後に腹部の緊急オペを受けたのです。実は12月12日からのGPファイナルの大会でも腹痛を繰り返していて、全日本選手権の間も吐き気に見舞われるほど具合が悪かったんです。複数の医師に診察を受けた結果、病名は『尿膜管遺残症』。尿膜管は赤ちゃんがお母さんのお腹にいるときに、膀胱とへそをつなぐ管。生まれた後は不要となるんですが、まれにこの管が残ってしまって感染症を起こし、発熱や腹痛を起こすことがあるそうです」(スポーツ紙記者)

 約2週間の入院に加え、1か月ほどの安静治療が必要な身にもかかわらず、そこで練習を再開し、再び右足首を捻挫してしまう。その結果、今回の大会も直前まで出場を危ぶまれていたという。

「日本スケート連盟の小林芳子フィギュア強化部長が、今月18日になってやっと取材に応じ、出場の最終確認となりました。とはいえ、“17日に連絡をとった。少しずつ練習量を増やし、最終調整に入った”と、実りのないコメントで濁す始末。あらためて、羽生サイドとスケート連盟側のコミュニケーション不足を露呈する内容でした」(前出・スポーツ紙記者)

 スケート連盟が報道関係者にさえ、羽生結弦情報を隠し続けているというが……。

「隠しているのではなく、知らないんですよ(苦笑)。フィギュアスケート界は特殊な関係性で、ミキティが登場したあたりから選手と連盟内の強化部門との間に溝が生まれてしまったんです」(スポーツ紙ベテランカメラマン)