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 お笑い芸人が、自身が出演する舞台のチケットを、自身で売り歩く「手売り」が盛んらしい。もちろん売れない若手芸人たちが、ただ待つだけじゃ売れないチケットを自分たちで売ることは昔からあったが、最近では知名度のある人気芸人が、あえて手売りすることも。その理由、今と昔の違いとは?

「若手時代はダウンタウンの2人も劇場で自分たちのライブのチケットを手売りしていましたよ。ダウンタウンが売れて、大阪で『4時ですよ~だ』(毎日放送)をやっていたときは、心斎橋筋2丁目劇場で売れる前の今田耕司さんと東野幸治さんが、よくチケットを手売りしていましたね」(大阪在住のお笑いファン)

 チケットの手売りは、若手芸人なら誰もが通る道。今は有名になった芸人でも、駆け出しのころは、自分たちでの手売りを経験している。しかし、現在では、人気芸人が手売りするケースも多いとか。

「キングコングの西野亮廣さんやウーマンラッシュアワー村本大輔さんなど、露出の多い芸人さんもやっていますね。みなさん、ツイッターでチケットが欲しい人と連絡を取り合って売っています」(お笑いライター)

 そのほかにもインパルス、ジャルジャル、ダイノジ、しずるなどの人気芸人がチケットの手売りを行っている。

「有名芸人でも、劇場を埋めるのは簡単ではありません。テレビでは有名だったとしても、お金を出して見てもらうほど好きになってもらうのは難しい。手売りは、お客さんにとっては、芸人と話せたり、ツーショットを撮れたり、いいことずくめ。芸人にとっては、チケットが売れれば言うことない」(芸能プロ関係者)

 ちなみに、現在は売れっ子でも“営業マン”として優秀ではなかった人も……。

「ピースの又吉直樹さんは、若手時代に手売りしていたとき、“お笑い好きですか?”と、街で女性に声をかけたら、“え? お祓いですか?”と聞き返されたそうです。暗かったから(笑)。また、土田晃之さんは、ボキャブラブームが終わったころ、それまで満員だったライブに人が集まらず、事務所に“手売りしてこい”と言われたけど、拒否したとか」(お笑いライター)

 手売り事情は昔と変わっているが、それは人気芸人だけの話ではない。若手芸人に、最近の状況を聞いた。

「今は、昔と違って、劇場前の道なんかで手売りすることは条例で禁止されているのでできません。そのため手売りするときは、劇場内で売るか、劇場の入っているビルのエレベーターの前など、屋内で売っています」(東京在住の若手芸人)

「大阪市は街中などでのチケットの手売り、またイベントの告知をすることは条例で禁止されています。それを取り締まる係の人たちもいます。有名な方はツイッターで告知したら来てくれますけど、僕ら若手は難しいですね」(大阪在住の若手芸人)

 また、事務所が手売りを歓迎していない場合もある。

「うちは事務所が禁止しているので、所属芸人は基本的に手売りはやってないですね。“芸人はお金を出してもらって舞台に出るもの。チケットのノルマを課されて出るのは素人”という考えなんです。

 ノルマがあると困る若手も多いですから。でも売れてないわけですから、正直、多少手売りしてでも、ライブに出たいって思っていましたけど(笑)」(東京在住の中堅芸人)