スピード導入の理由が知りたい

スポーツ少女だった望月瑠菜さんだが、ワクチンで人生を一変させられたという
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「当初、私たちは提訴には消極的でした。でも、弁護士さんから“こうした薬害を繰り返さないためにも裁判を起こすべき”と言われて。このワクチン自体、すごい短時間で導入されています。どうしてこんなに早く導入されたのか?それを知りたいという思いもあり、提訴しました」

 こう語るのは山梨県の望月瑠菜さん(17)と、母の千鶴さんだ。

 1回目の接種は'10年8月。在住する身延町からの無償接種の通知を受け取ったのがきっかけだった。

「たいていの予防接種と同じで、熱が出るとか腫れるとかの一般的な副反応については書いてありました。ですが、ワクチンに特に疑いを持つことはありませんでしたね」

 と千鶴さん。

 症状が出始めたのは、接種翌年の中学1年のときだった。

「9月ごろからひざ、わき腹など身体のあちこちに痛みが出始め、頭痛もするようになってきました。症状が悪化したのは、高1だった'14年8月の、金曜のことです」

 買い物をしていたら、急にひざがガクッとした。当初は右足だけだったが、翌日には左足にも同じ症状が出て、立てなくなった。

 翌週の月曜に、身体を引きずるようにして整形外科に行ったが原因がわからない。野球の男女共同チームでキャプテンをしていた活発な女の子が、立ち上がることさえ困難になったのだ。

 あわてて大学病院に行ったが、診断は“精神的なもの”。母・千鶴さんは、そう聞いて喜んだという。

「精神的なものならば、原因がなくなれば治る。“よかったな”と思いましたが、翌日には手に力が入らずに震えるようになり、お茶碗も持てなくなってしまった。その姿を見て、“これは精神的なものじゃない”と思いました」

 '15年3月、リハビリに通っていた病院から信州大学の紹介を受け、同大の池田修一医師により「子宮頸がんワクチンによる典型的な副反応」と診断された。

 ずっと続けてきたリハビリや食事療法の効果か、ここへきて瑠菜さんは走れるようになってきた。

「今は足が震えていることと、全身に痛みを感じる程度になりました」(瑠菜さん)

 車イスや杖を使わずに学校に通える状態を保ってはいるが、生理前には痛みがひどくなり、ひざが抜け、立つと震えがきてしまう。頭痛や身体の痛みは、いまではあるのが普通。消失する気配はない。

 現在、瑠菜さんは高校3年生。かつては空間デザイナーを夢に描いていたが、

「瑠菜は進学も就職も難しいと思います。提訴となると、東京の裁判にも出廷しなくてはならないし、病院に行くにしても1日がかり。いずれにせよ学校や職場で、この病気を理解してもらうのは難しいと思います」

 と千鶴さん。

 瑠菜さんは訴える。

「やりたいことがたくさんあったのに、あきらめなければならないのがいちばん悔しい。国や製薬会社をはじめ、このワクチンをすすめた人たちは責任を取ってほしい。自分たちのしたことを痛感してほしいんです」

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 次回は、娘に子宮頸がんワクチンを接種させたことで苦悩する母たちの姿を追う。