住んでいい土地の種類は3種類だけ

 では、強くて安全な地盤とはどういうものなのか。

「住んでいいのは更新世段丘、完新世段丘、台地・段丘の3種類だけです。ざっくり言うなら、坂道を上りきり、平地が続く土地の中ほどにある、新興住宅街でない住宅地は安全です」

 ただ、台地だからと安心していても、点在する河川の周りは地盤が弱い場合もあるので注意が必要だ。

 自分が住む場所の特性は実はネット上である程度確認できる。

 国土地理院が運営する「地理院地図」にアクセスし、左上の「情報」欄から「主題図」→「土地条件図」を選択すると、主要都市が地盤ごとに色分けされる。色の凡例は同じページから閲覧できる。

 本誌は凡例と大木さんの話をもとにチェック表(次頁参照)を作成した。わが家はどんな地盤の上にあるのか、ぜひ1度、確かめてみてほしい。

 また、東京のように開発が繰り返され変貌を遂げた地域には、人工地盤が多く存在する。元の地形を知るには、図書館や資料館で閲覧できる明治時代の古地図を参考にするのもいいという。さらに、地盤の揺れやすさなどを確認するには、防災科学技術研究所が運営するサイト「地震ハザードステーション」内の『J-SHIS Map』がおすすめだ。

 危険地域に住んでいることがわかった場合、いったいどうすればいいのか。

「まず、なぜ危ないのかを知ることです。地盤の性質をとらえ、災害時に何が起こりうるかを調べたうえで必要な対策を取ることが肝心。洪水ひとつをとっても、自分の住んでいる土地の高さと河川の高さ、そして自宅と河川の蛇行の位置関係を知っていればずいぶん違う。地震についても同様です。自宅の地盤はどの程度揺れるのかを把握するだけで、耐震化の必要性や緊急性がわかります」

 同じ自然災害でも、知識や情報の不足から、本来は防げるはずの被害に遭ってしまうケースがあとを絶たない。知識を身につけることは、身近で大事な防災なのだ。