「10代のときは、鎮痛薬でごまかして……」

 もともと重い生理痛に悩まされていたという矢部さん。10代のとき、温泉番組の収録に生理が重なってしまい、現場では薬を飲みながら、具合が悪いのをごまかしつつ仕事したこともあったという。

西川「生理痛が重いのは、若いときからですか?」

矢部「10代のときからですね。18のとき、撮影中だったんですけど、生理痛がひどくて。周りの人に何も言えなくて我慢していたら、貧血で倒れちゃったんです。そのとき左眉のあたりを切ってしまって。今もまだ傷痕が残っています

西川「そのときから筋腫や内膜症があったのかもしれないですね」

矢部「10代のときは産婦人科には行かないで、そのまま放置して我慢できなくなったら鎮痛薬を飲んで……」

西川「それはあくまで対症療法ですよね。ピルは飲まなかったの?」

矢部「ピルを飲み始めたのは、3年くらい前です。ピルって副作用が怖いイメージがあって。太るとか、むくむっていうじゃないですか」

西川「20代のときから、あるいは、18くらいからピルを飲んでいたら、筋腫や内膜症の進行はある程度、抑制できたかもしれませんね」

矢部「そうなんですか!?」

西川以前はピルを推奨してはいませんでしたが、今は低用量ピルが生理痛の強い人の痛みの緩和と、子宮内膜症の発症の抑制、あるいは進行の抑制に効果があるとされています

矢部「私は10代のとき、どうしても薬に頼りたくなかったので、あまり調べなかったんです。まだ子どもでしたしね。でも、あのときには低用量ピルはなかったと思います。10代といっても、もう20年前ですけどね(笑)」

「筋腫を取ると妊娠しやすくなる?」

矢部「筋腫があると妊娠しづらいと聞くんですけど、やっぱり妊娠の確率は変わってくるんですか?」

西川筋腫のできている場所によりますね。例えば、子宮の外にできる筋腫。これは不妊とはあまり関係ありません。関係あるのは、子宮の中にできる粘膜下筋腫や筋層内筋腫。

 前者は受精卵が着床する場所に異物ができるもので、後者は筋肉の中から子宮の内膜を圧迫し血流を悪くするもの。妊娠しづらいというより、流産を起こしやすくなります。不妊に関係するのは、筋腫よりも内膜症のほうが関係します」

矢部「手術の前に調べてもらったんですけど、私は内膜症も起こしているけど、大したことはないと。そんなに大きくないと言われました」

西川不妊症の人のお腹の中を見たら、半分以上が内膜症がありますよ。美穂さんの場合は内膜症というより、39歳という年齢のことを気にしたほうがいいと思います」

「卵子が老化すると、どんなリスクが?」

矢部「まだ独身ですし(笑)。私の年は妊娠のリミットに近いんですか?」

西川「近いですね……。35歳以上が高齢出産ですから」

矢部「35歳! じゃあ私は……(涙)」

西川「35歳からいろいろなリスクが高まってきます。ひとつは身体のリスク。年をとってくると、筋腫や内膜症ができたり、妊娠しても妊娠高血圧、妊娠糖尿病という合併症も多くなりますし。卵子自体も老化し、数が減ってきますから」

矢部「卵子が老化してくると、どんなリスクが出てくるんですか?」

西川加齢とともに増える、染色体異常ですね。そうなると妊娠しにくいし、しても流産の確率が増えてきます。また染色体異常は、ダウン症の原因にもなりますから

矢部「今、高齢出産が可能、ってニュースでも流れるじゃないですか。だから、45歳とかでも産めるのかな、って。それって危険なんですか?」

西川「危険だと思います。45歳で出産した人たちも、簡単にできたのではないと思いますよ。不妊治療をすごくやったり、あるいは、若い人から卵子をもらって、体外受精している可能性も高いと思います」