「ふるさと納税」のルールが10月から変更となることをご存じだろうか。「ふるさと納税」とは2008年5月から始まった、故郷や自治体に寄付ができる税制だ。税金が控除されながら、お礼の名産品もゲットできる、といったお得さと手軽さが魅力である。そんな「ふるさと納税」のルール変更が大きく2つ。“経費ルールの変更”と“地場産品の定義変更”である。
「“経費ルールの変更”に関しては、寄付金の受領証発行や送付にかかる費用等を経費に含めるということで、それにより経費率が5割を超える返礼品については、“内容量の減少”“寄付金額の増加”の可能性があります」(『ふるさと納税ガイド』編集長でファイナンシャルプランナーの飛田啓介氏、以下同)
返礼品競争が過熱しルールが曖昧に
年末の12月になって慌ててふるさと納税のサイトを見始める人も多いのではないだろうか。
「今年は9月中に希望の返礼品を選んでおくということも一つの手でしょう。人気の返礼品が10月1日以降、受け付けを停止する可能性がありますし、今回話にあがった“熟成肉”や“精米”は、予告なく終了する可能性があるためです」
“地場産品の定義変更”は、例えば「熟成肉」の場合、他の都道府県や海外で生産された肉を「地元で熟成」させたものは「地場産品」として返礼品にできていた。が、10月以降は熟成する前から一貫してすべて同じ地元で作られたものしか返礼品の対象とされなくなる。
「ただこの定義の話については、それが認められる基準が定量的に示されたわけではないんです。例えば“牛タン”を名産品としている地域も多いですが、国内供給量のほとんどを輸入が占めており、返礼品の“牛タン”は“熟成肉”と同等レベルの加工しか、その地元で行っていないものもあるはずです」
他にも注意が必要なジャンルがあると、ふるさと納税コンサルタントの小野くみ氏が教えてくれた。
「“ゴルフ場利用券”などです。プレー券だけならOKなのですが、お土産店での食べ物や飲み物はどうなのか? 地ビール? 地場産品?という観点で使えなくなる可能性も今後出てくるかも。似たようなところで、道の駅では近隣地域をまたいだ商品が多く、利用ポイントで使えるものと使えないものが混在しているので注意したいところです」
今回の国の改正が意図するところは何なのか。
「返礼品競争が過熱しルールが曖昧になってきているのを正すこともそうですが……。本来、地方に還元されるべき税収が、返礼品そのものやポータルサイトなどの手数料に使われ、本来の使い道に回っていないことを問題にした改正だと思われます。これまで、自制したルールの中で運営されていた自治体にとっては痛みは少ないと思いますが、独自の解釈で攻めた姿勢で返礼品開発をしていた自治体ほど痛みが大きいのでは? 大雨被害のニュースも続いていますが、ダイレクトに寄付金が届くふるさと納税はこのような時に本来の趣旨を発揮すると思います」(前出・小野氏)