《もう行きたくない》
《アクセス最悪……》
スタジアムは最寄り駅から徒歩60分
そんな苦い経験をSNSで書き連ねるのは、サッカーJリーグ『ガンバ大阪』のサポーター。2月23日に『2024明治安田Jリーグ』が開幕したが、ピッチの外で“波乱の幕開け”となっていた。
「2月24日に『ガンバ大阪』と、今年の注目チーム『FC町田ゼルビア』の試合がありました。『町田』は、2023年にJ2初優勝してJ1に昇格したチーム。元日本代表の昌子源(しょうじ・げん)選手や、東京五輪で正GKを務めた谷晃生(たに・こうせい)選手など、J1に昇格したばかりのチームとは思えない“大型補強”をしており、初戦はサッカーファンが注目していました」(スポーツ紙記者、以下同)
結果は1対1の引き分け。それよりもSNSで話題になったのが、冒頭のような試合会場に足を運んだサポーターの声だった。
《バス待ち2時間》
《町田の運営による誘導がうまくいかず、大阪のサポーターが指揮をとり始めた》
《新幹線、間に合わなかった》
「この日は、町田のホームで“天空の城”と言われる『町田GION(ギオン)スタジアム』での試合でした。最寄り駅は小田急線『鶴川』駅やJR『町田』駅などいくつかありますが、駅からは基本バスで、20分から40分ほど。『大阪』戦は、過去最多の観客が集まり、試合後のスタジアム周辺は大渋滞。交通機関もマヒ。帰宅困難者が続出しました」
なぜ、このような事態になったのか。サッカー業界関係者は、こう語る。
「町田のホームスタジアムは、J2のときからアクセスの悪さを指摘されていました。昨年の1試合平均の入場者数は約7000人。それが、今回の『大阪』戦には1万3000人以上がやって来ました。今年J1に昇格して、規模の大きさに対応できなかったのが原因です」
当日は対策も講じていたようだが、焼け石に水。
「無料の直行バスや、地元のバス会社も便数を増やしたようです。地元のタクシー会社も総動員。でも、試合後に一斉にスタジアムを出ようとした1万人以上の観客は、ほとんどが足止めをくらったようです」(サッカー業界関係者)
『町田GIONスタジアム』の公式サイトを確認すると、アクセスの手段はいくつかあり、中には《セルフ男気コース!!》として《徒歩 約60分》という手段も紹介されていた。そこで、週刊女性PRIMEの男性記者(23)も男気を見せて歩いてみることに。
試合から3日後の平日、昼間。空は晴れているが冬の冷たい風が容赦なく吹き付ける。中、『鶴川』駅からスタートして、バスや乗用車が行き交う2車線の道路を、ひたすら歩く。途中、1人分の幅しかない細い歩道も進む。
向かい風の中、歩き続けること約4㎞。《この先780m》と書かれた案内板が現れた。しかし、スタジアムの全容は見えない。進路に従い、急な坂道を上り、森のような道を抜ける。汗が滲み始めるが、遮るものがない真冬の寒波で、身体の芯から凍えてきた。試合を観戦した後、この道を歩いて帰るのは――、無理だ!
そこに偶然、通りかかったタクシーに救いを求めるように記者は無意識に手を挙げていた。一目散に車内へ飛び込む。想定外にかかった経費の言い訳として、このタクシー運転手に聞き込むことに。
「お客さん、歩いてスタジアムまで行こうとしたの? そりゃあ無茶だよ~! 春とか秋ならまだマシけど、夏は暑さで倒れちゃうだろうし、冬なんて寒くて脚が進まなかったでしょ。試合後の混雑を避けたいなら、スタジアムから少し歩いて、離れたところからタクシーを配車してもらうといいよ。それか試合が終わる前にスタジアムを出ちゃうかだね。で、お客さんはどこまで行く? 駅に戻る?」
こうした取材結果とSNSの声について、今後の対策はあるのか、『FC町田ゼルビア』に問い合わせた。
「J1開幕戦で、過去最多来場者数ということもあり、ご来場いただいた皆さまには、ご迷惑をおかけしました。少しでもアクセス環境がよくなるよう、引き続き行政や自治体、警察とも連携して、対策してまいりたいと思います」
次の『町田ゼルビア』のホームゲームは、3月9日の『鹿島アントラーズ』戦。『大阪』戦より混雑が予想されるという。サポーターへのロスタイムは0分を目指してほしい。