2025年も年の瀬。毎年この時期になると取りざたされるのが、大晦日の視聴率競争だ。
紅白よりワクワク『孤独のグルメ大晦日スペシャル』
長らく『NHK紅白歌合戦』が50%前後の視聴率を獲得して“お化け番組”と呼ばれていた時代から、『ガキ使』や格闘技番組がその牙城を崩していった時代を経て、現在はテレ朝が『ザワつく!大晦日』、TBSが『オールスター体育祭』で安定し、日テレとフジは試行錯誤が続いている。
そんな中、ダークホースのように定着しているのが、今年で9年連続となるテレ東の『孤独のグルメ大晦日スペシャル』(テレビ東京)だ。しかも今年は、松重が公式コメントで、「紅白よりワクワクする瞬間があるやも、です」と語っている。
それにしても、一見地味な“ひとり飯ドラマ”がなぜ大晦日の定番になったのだろうか?
結論から言うと、『孤独のグルメ』が、日本人の大晦日の気分に非常にマッチしているからだと筆者は思うのだ。
かつてヒット曲が、老若男女誰が聴いてもわかるものだった時代は、歌で1年を振り返る『紅白』が大晦日の気分にマッチしていた。しかし頑張って若者層を取り込もうとする昨今の『紅白』は、テレビのメイン視聴者である中高年には知らない歌ばかりで、段々気分に合わなくなっている。私も年を追うごとにテレ東の『年忘れにっぽんの歌』の方がしっくりくるようになってきているくらいだ。
もう歌番組を見たくない層にとっては、各局のバラエティ番組はパイの奪い合いになる。しかし12月前半から続く大型バラエティ特番の連続にも食傷気味だ。そんな中、唯一ドラマが見られるのが『孤独のグルメ』だということも、強みのひとつだろう。2021年の大晦日SPでは世帯視聴率6.1%を記録し、ほかの年も4~5%台と他局のバラエティと互角に渡り合っている。
そして『孤独のグルメ』は、ファンならご承知のように、輸入雑貨商である井之頭五郎(松重豊)が、営業先で一仕事終えた満足感に浸りながら、偶然見つけた飲食店でひとり飯を堪能するドラマだ。
















