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ー 民意を無視して「走行税」導入

 

 日本社会の現状に、「遅れてる! 海外ではありえない!」なんて目くじらを立てている人もいますが……。いえいえ、他の国の皆さんも基本は一緒! そんな、「衝撃」「笑える」「トホホ」がキーワードの世界の下世話なニュースを、Xで圧倒的な人気を誇る「May_Roma」(めいろま)こと谷本真由美さんに紹介していただきます。税金が重なり、通勤や通院に大打撃!! イギリスで'28年から導入が決定した「走行税」とは……。

民意を無視して「走行税」導入

 イギリスの車といえば、2階建ての赤いロンドンバスや、『007』のジェームズ・ボンドの愛車である「ボンドカー」ことアストンマーティンを思い浮かべる人も多いのでは。しかし今後のイギリスでは、車に乗ることさえためらわなくてはならない事態が迫っているのです。

 イギリスでは、ガソリン車やディーゼル車のドライバーは、ガソリンを購入する際に「燃料税」を支払っています。この燃料税は、リッターあたり一定額が課される仕組みで、走行距離が長い(燃料を多く使う)人ほど多く税を払うことになります。そのため、燃料税を回避しようと電気自動車を購入したり、乗り換えたりする人が少なくありません。

 ところが! イギリス政府は2028年4月から、電気自動車のドライバーは1マイル(約1.6キロ)あたり3ペンス(約6円)を、ハイブリッド車のドライバーは1マイルあたり1.5ペンス(約3円)を支払う─俗に言う「走行税」の導入を正式に決定。仮に、電気自動車で年間5000キロ走ろうものなら、約1万8750円を支払わなければいけない計算になります。

ロンドンを象徴する2階建てのバスが通る街並み
ロンドンを象徴する2階建てのバスが通る街並み

 以前、ロンドンには、自動車排ガス規制を満たさない車両(ガソリンエンジン車など)が、ロンドンの「超低排出ゾーン」を走行する場合、1日あたり12・5ポンド(約2400円)を市に支払うルールがあることをお伝えしました。そこに輪をかけて、「走行税」が導入されるわけですから、とんでもないことですよね。もちろん、導入の議論が行われている段階で国民は大反対だったのですが、労働党のスターマー政権は民意を無視して押し切ってしまったのです。

 ちなみに、イギリスの「走行税」は車検時に、もしくは新車の場合は登録1年目と2年目の記念日に、毎年走行距離の点検を受けることになるそうです。走行距離の計測は、車載されているオドメーターに基づいて行われるため、政府は「改ざんが行われる可能性がある」ことを認めていて、解決する方法を検討しているともアナウンスしています。いやいや、解決できていないんだったら導入の決定をしないでよ。「'28年までに考えます」じゃないんだよ。

「燃料税」「走行税」、そしてロンドンの「超低排出ゾーン規制」─。なぜこんな横暴な法律が通ったのか。現在イギリスは、自国の自動車産業が衰退していることもあって、外国の自動車企業にこういった形で規制をかけている……ともいわれています。

 今後、低所得者層には大打撃となることは必至。通勤や病院へ行くといった、車をどうしても利用する必要がある人はまさにライフラインに関わる問題となるでしょう。まさに、車を運転するたびに家計は「火の車」になるわけです。

谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数。
谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数。