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ー 「野球の原体験が失われないか?」米紙が懸念

 

 3月に開催される、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。ドジャース・大谷翔平の侍ジャパン入りや“最強メンバー”を揃えた米国などに注目が集まる大会は、日本においては『Netflix』による独占中継が決まっている。

「野球の原体験が失われないか?」米紙が懸念

 1月12日(日本時間13日)の『ニューヨーク・ポスト』紙は、この独占配信について《日本はNetflixのWBC独占放送に不満》の見出しで記事を掲載。お金を払わなければWBCが見られない状況に対して、懸念を示している。

「前回までのWBCは地上波放送でしたから、地上波を受信できる機器があれば誰でも見られたわけです。しかし昨年8月、Netflixが第6回大会の独占中継を発表。継続してNetflixに入っている人はいいですが、そうでない人は正直、驚いたのではないでしょうか」(スポーツ情報誌編集者)

 前回大会の決勝“日本vs米国”では、大谷が当時の同僚、マイク・トラウトから三振を奪い優勝するというドラマチックな展開に日本中が沸いた。『ニューヨーク・ポスト』紙は当時のことを、《単なる野球の名場面ではなく、お金には代え難いかけがえのない『共有体験』だった》と評価。しかし、次のWBCからは“共有体験”がNetflixに加入している一部の人だけに限られてしまうという状況となる。

自身のインスタグラムにてWBCへの参加を表明。前回大会MVPの参戦で日本の連覇への期待が高まる
自身のインスタグラムにてWBCへの参加を表明。前回大会MVPの参戦で日本の連覇への期待が高まる

「近年ではサブスクを利用する人は増えていますが、スポーツ、特に野球を課金して見るという行為は馴染みがありません。『ニューヨーク・ポスト』でも《テレビで何かを視聴するために料金を払うことは、日本では比較的新しい概念》と指摘されています。Netflixは広告つきで月890円、広告無しでも1590円とそれほど高額ではありませんが、わざわざ新たに加入してまでWBCを見る人がどれほどいるか……」(前出・スポーツ情報誌編集者)

 同紙はほかにも「高齢のファンはNetflixに接続できるのか」といった点に加えて「WBCを見る子どもが減ることで、かつて大谷がイチローを見て憧れたように、多くの子どもが大谷に感動する機会を失ってしまうのだろうか」と、野球の“原体験”が失われる懸念も表明。ただし、2025年3月のドジャース東京開幕シリーズでは、2試合ともにチケットが飛ぶように売れ視聴率も好調だったことを引き合いに出し、「大谷を見たいという熱意が高騰するチケット価格への抵抗感を上回った」「Netflixは開幕シリーズと同様の結果を期待している」とも分析している。

 WBCの独占放送問題に関して、ネット上では「お年寄りが新たにNetflix契約してテレビで視聴するのはなかなか難しいよ」「見たいのに諦める人がいると思うと悲しすぎる」「今回が試金石になるんじゃないだろうか。もしこれで視聴者数が減ったら、今後侍ジャパンに無理に出たいという選手も少なくなるかも」「日本の野球とテレビが時代の区切りを迎えた象徴になる大会だと思う」など、さまざまな反響が寄せられている。

 Netflixの独占配信は、果たしてWBCにとって吉と出るか凶と出るか――。