【好評連載・エンタメヒットの仕掛人】ダンディ坂野に始まり、カンニング竹山からヒロシ、小島よしお、スギちゃんまで多くの人気芸人を世に送り出しているサンミュージック・プロジェクトGET。今年は『メイプル超合金』が「M-1」ファイナリストに残った。この”プロジェクトGET”と呼ばれるサンミュージックのお笑い班はどうやって人気芸人を発掘し、育成し、プロデュースしているのだろうか。その”仕掛け”について、プロジェクトGETを統括する岡博之さん(ブッチャーブラザーズのリッキーさん)と、部長をつとめる小林雄司さんを独占インタビュー。全4回にわたるインタビュー記事第1弾では、プロ目線で観たお笑い番組についてを語ってもらった。

——年末・年始は多くのお笑い番組が企画・放送されていますが……

小林「これからが“商戦”です。業界の人たちが注目しているところで、いかに結果を残せるかというのは重要なことです」

——そこで結果を残せると、やはり取材やオファーがきますもんね。

小林「そこが勝負です」

——芸人さんをブレイクさせるために、出演させたいと考えているテレビ番組はありますか?

小林「『アメトーーク!』とか芸人の面白いところを発見させてくれる番組。あとは年末の『M-1グランプリ』などの賞レース。内村さんのやってる番組もいいですね。『イッテQ(世界の果てまでイッテQ!)』に出られると嬉しいんですけど……」

リッキー「何かのきっかけで呼ばれたとして『踊る!さんま御殿!!』とか『ダウンタウンDX』にしても、少し次の段階だもんね。そこに出演できるとしたら、何とかハメたいとは思うけど。7割以上は討ち死にをするという(笑い)」

小林「さんまさんやダウンタウンさんは、相手が誰でも番組を面白くできちゃうじゃないですか。やっぱりさんまさんやダウンタウンさんはすごいなって。もちろんそこは勝負なんですけどね。あの大御所との共演でちゃんと結果を出せれば、それはもうそれだけ力があるっていうことになるんですけど……」

リッキー「内村さんやナイナイさんは、そのまま伸びそうだなというのを素直に優しい目で見てくれるところはあるんじゃないでしょうかね」

小林「今、『内P(内村プロデュース)』みたいな番組があまりなくなってしまいましたけど、内村さんが若手芸人と絡んで笑ってくれると不思議と”売れるな!”と思います。

 実際にダンディ坂野が売れたのは『内P』がきっかけだったりしますしね。他にはナイナイ(ナインティナイン)さんの番組もいいですよね。小島(よしお)がブレイクしたのは、ナイナイさんがきっかけだったりするんですけど、おふたりは面白いところを探して笑ってくれます。視聴者の方も皆それぞれ笑いのツボって違うとは思うのですが……」

——安心感を与えるという感じでしょうか。

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小林雄司(こばやし・ゆうじ)●1967年生まれ。東京都出身。サンミュージック入社後、立ち上げ間もないお笑い部門プロジェクトGETに配属。小島よしお、鳥居みゆき、スギちゃんなど人気芸人をメディアに送り出してきた。現(株)サンミュージックプロダクション プロジェクトGET部長。

小林「どんな人も“面白いと思っているのって自分だけじゃないよな?”とか不安なところがあります。でも、内村さんとかナイナイさんが笑っていると、“あぁ、やっぱこれは面白いんだ!”と確信できますよね。面白いモノを見つけたときってみんな人に言いたくなりませんか?

 たとえば、美味しいお店を見つけたら言いたくなるのと同じで。僕自身もそれで売り込んでいるようなもので、自分で何か面白い芸人さんを発見したときに、誰かに言いたいなと思って、テレビ局へ営業に行って“面白い芸人がいるんですよ!”とやっているんです。

 もちろん、それは視聴者の方々も同じだと思います。面白い芸人さんを見つけたらみんなに言いたくなって、それが一気にバーっと広がっていったりするので」

——サンミュージックGETとしてこれから推していきたい芸人さんは?

リッキー「『メイプル超合金』だよね」

小林「はい。サンミュージック初の『M-1グランプリ』決勝進出者ですから」