「どの病院に通ってもダメだった慢性腰痛が治った」という声が次々と寄せられている治療法がある。しかも、手術も薬もなし、1回5~10分の手技だけ。「痛みの原因となる関節の機能を正常にする」という「AKA-博田(はかた)法」のメカニズムに迫る!

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「それまで慢性腰痛を治すために、整形外科や整体、鍼灸(しんきゅう)などあらゆる治療を受けてきましたが、改善しませんでした。どこへ行っても、最終的には“様子をみましょう”と言われてしまう。最後にたどり着いたのがAKA(関節運動学的アプローチ)─博田法です。あっという間に痛みがなくなりました」

 こう語るのは、趣味でサッカーに熱心に取り組む20代の男性。過去に肉離れを起こした経験があり、その部分をかばいながらプレーをするうちに腰痛になった。トレーニングなどで筋肉が疲れると激痛が走ることもしばしば。腰痛を治したいと治療法を探し求め、出会ったのがAKA─博田法だったという。

腰痛の最大原因は“仙腸関節”の異常

「AKB」と間違えてしまいそうな治療法だが、最近「たった5分の治療で痛みが消える」などといわれ、話題を呼んでいる。でも本当に、頑固な慢性腰痛が、魔法のように数分で治るなんてことがありえるのか。

「AKA─博田法は、痛みの最大原因にアプローチするため、1、2回の治療を受けるだけで治る方はいます」

 こう話すのは『仙腸関節を1ミリ動かせば、腰痛は消える』の著者で、「岡田理学クリニック」(神奈川県横浜市)の岡田征彦院長。日本整形外科学会認定専門医で、AKA─博田法による治療を長年行っている。

 岡田院長が、痛みの最大原因というのは仙腸関節のこと。仙腸関節は、背骨の末端がつながる骨盤内の仙骨を動かす関節だ。AKA─博田法では、この仙腸関節の機能を正常にして痛みを軽減する。

「慢性腰痛の方は、背骨のゆがみなどで神経が圧迫されて痛むケースが多いと思います。しかし、腰痛の8割以上は、原因不明といわれています。整形外科医が、MRIなどの画像診断で異常な部分を見いだして手術で治しても、患者さんの痛みがとれないどころか、新たな痛みに苦しむ方もいます。腰痛の根本的な原因が仙腸関節の機能異常にあるのが多いことを約40年前に発見したのが、医学博士で、日本AKA─博田法医学会会頭の博田節夫先生なのです」(岡田院長)

 仙腸関節は長さ約4センチの小さな関節で、仙骨を上下に3ミリ程度すべらせるような働きをしているという。この関節の動きがうまくいかなくなると、痛みの信号が小さな関節を経由して脳に伝えられる。経由する関節の周囲に、椎間板ヘルニアのような異常があると、脳は腰に激痛を感じてしまう。本来は仙腸関節の動きが悪いのだが、腰痛として認識されてしまうのだ。この状態が続くと、仙腸関節に炎症が起こり、さらに痛みが増していく。それを科学的に証明したのがAKA─博田法の生みの親、博田博士だ。

脚上げ(写真)と股関節の屈曲検査で仙腸関節の状態がわかる
脚上げ(写真)と股関節の屈曲検査で仙腸関節の状態がわかる

AKA─博田法は、仙腸関節の機能を正常に戻す治療法です。しかし、仙腸関節は小さくて、もともとわずかしか動かないため、無理に力を入れて動かすと新たな痛みにつながります。AKA─博田法では、力を入れずに的確に仙腸関節を動かすため、短時間で治療を終える必要があるともいえます」

 しかし、腰痛とひと言でいっても、椎間板ヘルニアやギックリ腰、神経が通る背骨の脊柱管が狭くなる脊柱管狭窄(きょうさく)症、背骨がずれる腰椎すべり症など、診断名はいろいろある。それらの痛みの原因が仙腸関節の機能異常につながっているとは、にわかには信じがたいが、整形外科の診断名もあいまいな面があった。

「整形外科や整体を受診しても腰痛がよくならず、大きな病院で『腰部脊柱管狭窄症』と診断されました。手術を受けたくなかったので、痛みを止める神経ブロックという治療を受けましたが、すぐに痛くなる状態が続いていました。新たにほかの病院を受診したら、腰椎がずれた『腰椎すべり症』と診断されたのです」

 こう語る60代の女性は、慢性腰痛を治したい一心で、医師がすすめる手術を承諾したが、手術日までに時間があったので、AKA─博田法を試してみることにしたという。

「初回の治療では変化はありませんでしたが、2回目で少し変わった感じがしました。2週間ごとに受診して7回目で痛みが軽減し、その後、腰痛が消えたのです。手術を受けることはやめました」