マキタは、ラジオのレギュラー番組『東京ポッド許可局』でも、食について語ることが多い。今、市販のものでマキタがカスタムしている食べ方はあるのだろうか。

「このやり方が推奨されてるかはわかりませんが、僕独自でたどり着いたものをいうと、缶詰のオイルサーディンを使って作るチャーハンですね。あのオイルも僕はたれだと思っているんですけど。

 作り方は、最初にイワシだけ取り出して、フライパンで表面をカリッとさせるまで焼いて取り出しておく。残りのオイルをフライパンに敷いて、ご飯を入れて、しょうゆを1まわし半くらい入れてかき混ぜながら炒める。炒めたご飯を盛りつけたあとに、焼いたオイルサーディンを乗っけて、お好みでパクチーやあさつき、刻み海苔をかけてできあがり。イワシのだしが出ておいしいですよ。

 あと、実はサバ缶はお味噌汁に入れるとおいしいんです。サバは油が多めなので、こってり感がでて温まるし。缶詰のたれだって捨てどころはないですよ!」

マキタスポーツ 撮影/齋藤修造
マキタスポーツ 撮影/齋藤修造
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口コミサイトを利用しない理由

 食にこだわるマキタだが、実は口コミサイトは利用しないのだという。

「どこそこのお店がおいしいとか、今カレーはこの店が熱いとか、食べログ的な評価にあまり関心がないんです。

 僕も二十数年前は、ラーメンを食べ歩いていた時代があったんですよ。その時に魚介系のスープと動物系のスープを混ぜるお店が出てき始めたんですが、メディアでラーメンのモードみたいなものがうたわれて、最新のラーメンはこれだ! って紹介されているものに僕は振り回されて、いろいろ食べに行ってたんです。でも、僕の中で優劣はなくて、“全部うまいな”って思った。そんな中で、“まだあのラーメンをおいしいと思ってんの?”みたいな風潮がちょっとくだらないなと感じて。

 今はそういう情報に左右されず、“自分がおいしいと思うものがおいしいものだ”ということだと僕は思っています」

 基本的に「よく寝られて、便通がよくて、ご機嫌な状態であること、天気がよいこと、誰と食べるかなど、身体と環境が整っていれば食べ物はおいしく食べられる」とマキタは話す。そして、もうひとつマキタ流の食べ方を教えてくれた。

「自分の思い出に刷り込むことです。“どこで何を誰と食べたか”っていうのが頭に刷り込まれれば、そのストーリーがグルメになるから。たとえば、お腹が空いたときにふらっと入ったお店がすごくおいしくて、お店を出たら快晴で、その空をツバメがすーっと通って行ったとか。ひとりでラーメンを食べてるときに、後ろの席でカップルが別れ話をしていた。なんともいえない気分になって食べたそのラーメンがおいしかったとか。そういうのを僕は“背景食い”って言ってるんです。

 背景とか文脈っていうものが自分の中にちゃんとあって、身体が整っていれば、いろんなご飯をおいしく食べられると思います」