先輩天才キッズ★自由研究をそのまま仕事にしちゃった!?

 国立研究開発法人農研機構で、環境にやさしい農業を実現するため、主任研究員としてクモと環境の関わりを調べている馬場友希さん。日々フィールドワークを行っているが、初めてクモに興味を持ったのは小学校の自由研究がきっかけだった。

「北九州市の自然の中で育ち、生きものが好きでした。ある日、近所の草むらで虫とり網をふったらクモがめちゃくちゃとれたんです。クワガタやカブトムシと違ってあまり人気がなくて、人々に注目されていない点にも惹かれ、4年生の自由研究では近所のクモを調べてイラストで図解しました」

 6年生の自由研究では、海岸にいるイソハエトリというクモの生態を観察。音は聞こえるのか、目は見えるのか、エサのとり方、どんな形状の巣をつくるのかなどをまとめたところ、観察記録が評価され、『自然科学観察コンクール』で入賞。

「いま考えると、そのときに謎を突き詰めることの楽しさを知ったことが現在までの研究のモチベーションになっていますし、ここで習得したクモの育て方や扱い方は今も役立っています」

馬場さんが小学6年のときにコンクールで入賞したレポート。イソハエトリグモの生態を約1年観察した
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 高校ではいったん生きものから離れ、卓球部やバンド活動へと興味が広がったものの、「やはり生きものの研究をしたい」と九州大学理学部生物学科へ。生きもの全般を学びつつ、生物研究部では沖縄に出かけ、新種のクモを見つけたりする活動も行っていた。

「クモは、日本で1600種類くらいいるのですが、名前がついていない種がまだ約300種もいるとされています。

 私が発見して、和名や学名にババと名前がついたクモも4種類います

 卒業後は大学院に進んで研究を継続し、現職に。水田に生息するクモの生育環境について研究をしている。

馬場友希さん

 魅力を聞いてみると、

「網を張ることですね。クモは種類によって、網の大きさや形、網目の間隔などが違うんです。また、多くのクモは毎日、網を張り替えますが、体調によって網の張り方が変わる。糸によって、クモの行動や状態が可視化されるところがおもしろいんです(笑)」

 そんなクモ博士の馬場さんだが、研究者以外の道を考えたことはないのか。

「正直、大学院では“このままクモの研究を続けていていいのか”と思ったこともあります。それでも続けてこられたのは、小学生のときにじっくりクモと向き合い、彼らの魅力を知り、評価された経験があったから。クモはわからないことが多くて研究のしがいがあるので一生楽しめます。

 小学生のみなさんには、興味のあることにチャレンジして、一生ものの趣味であり、仕事を見つけてほしいですね」

◎馬場友希さんのプロフィール
国立研究開発法人農研機構 農業環境変動研究センター 生物多様性研究領域 生物多様性変動ユニット 主任研究員。九州大学理学部生物学科卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻博士課程修了。’09年に契約研究員として入所、’17年より現職